【パブコメ】英国競争市場庁(CMA)によるiOSにおけるNFC機能へのアクセスに関する意見公募に意見を提出しました

2026年7月21日、一般社団法人新経済連盟は、英国競争市場庁(CMA)が実施するiOSにおけるNFC(近距離無線通信)機能へのアクセスに関する意見公募(Call for Evidence)に対して意見書を提出しました。

【意見提出の背景】
CMAは現在、AppleがiOS上でNFC機能への第三者アクセスを制限してきた状況を踏まえ、開発者が自らのアプリからNFCを用いて非接触決済等のサービスを提供できるようにするための要件の導入を検討しています。新経済連盟はこれまでも、デジタルウォレット分野を含むOS機能への公正なアクセスの確保が、モバイルエコシステムにおける競争回復の中核課題であることを訴えてきました。日本では、スマホソフトウェア競争促進法(MSCA)と公正取引委員会の指針(2025年7月確定)が、NFC機能へのアクセスを妨げる行為を禁止行為の想定例として明示しており、新経済連盟は同指針の策定過程でもNFCアクセスの在り方について具体的な意見を重ねてきました。今回の意見書では、日本の制度設計と運用の経験を、英国の制度設計に資する形で提供しています。

【意見の概要】
■技術方式(開発者の選択を基礎とするデュアル・テクノロジー・アプローチ)
NFCアクセスは、HCE(ソフトウェアによる方式)とSE(専用ハードウェアによる方式)の双方について確保すべき。いずれの方式が最適かは、ユースケースや既存の開発資産、セキュリティ設計、経済合理性等によって異なり、これを最もよく知るのは開発者自身である。規制当局やプラットフォーム事業者が単一の方式を固定するのではなく、開発者が最適な方式を選択できるようにすべきである。

■NFCアクセスに対する料金のあり方
NFCアクセスは無償(free of charge)とすべき。CMA自身、現行の料金が重大な参入障壁となっている可能性が高いと評価しており、参入を阻んでいる要因が料金そのものである以上、これを無償とすることが介入の目的に最も直截に適合する。無償でのアクセス提供がApple自身の事業モデルと両立しうることは、AppleがすでにEEA(欧州経済領域)で無償提供を行っていることからも明らかである。仮に何らかの料金を認める場合であっても、その水準は狭義のコストベースを上限とすべきであり、Appleの市場支配力に由来する価値を反映させるバリューベースの料金設定は避けるべきである。

■名称や形式ではなく「実質」に基づく規律
料金の妥当性は、名目や理論的な説明ではなく、事業者が実際に参入・利用できるかという実質で判断されるべき。名称を変えた複数の手数料の積み上げ、開発・運用の第三者への委託を通じた迂回、ある法域で無償とされたアクセスに係るコストの英国での回収などは、いずれも規律の潜脱にあたるものとして防止すべきである。

■「アクセス経路の存在」と「競争の実現」は同義ではないこと
日本での議論から導かれる中心的な教訓は、アクセス経路が形式的に存在することと、競争が実際に実現することとは別物であるということである。英国でも、アクセス経路が形式的には設けられているにもかかわらず、18か月間にわたり新たな製品・サービスのローンチが確認されていないとCMA自身が指摘している。開放される規格・ユースケースの範囲が市場の実態(将来の決済・ID・キー等を含む)に適合していること、申請手続が予見可能かつ迅速であること、名目の変更等による潜脱が防止されていることを含め、「アクセス経路の存在」ではなく「参入の実現」を成果指標とする制度設計を求める。

※英国競争市場庁による本Call for Evidence(英語)についてはこちらをご覧ください。
※意見書の全文(英語)はこちらをご覧ください。  

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