【パブコメ】「人工知能基本計画骨子・人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針骨子(案)」対して、意見を提出しました

一般社団法人 新経済連盟は2025年11月27日、内閣府の科学技術・イノベーション推進事務局 人工知能政策推進室が募集した「人工知能基本計画骨子」「人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針骨子」のパブリックコメントに対して、意見を提出しました。
【人工知能基本計画骨子案に対する意見概要】
1. 国際競争に対する強い危機感の明示と意見募集期間の確保
計画全体で「クラウド競争に負け、このままだとAIに係る国際競争にも負ける蓋然性が高い」といった強い危機感を国として示すべきである。また、産業界の声を広く反映させるため、今回の意見募集のように短期間(約1週間)ではなく、1か月などの十分な期間を確保するよう強く要望する。
2. 士(師)業法等の規制の具体的な見直し
リーガルや医療などのプロフェッショナル領域において、生成AIの社会実装を前提とし、士(師)業法等の規制の考え方を見直すことを明示すべきである。AIに適応しない規制は国内企業の開発を委縮させ、日本のAIイノベーションと国際競争力を阻害する懸念がある。
3. データ連携・共有に関する具体的な方針の提示
官民や企業を超えたデータ共有について、目的やメリット、共有データの想定を具体的に示すべきである。また、セキュリティだけでなく、データの置き場やアクセス権、データ連携基盤の具体的な運用方針についても明示するよう強く要望する。
4. 日本の強み分野とAIの掛け合わせによる集中投資戦略
AI基盤技術の各国との全面競争は現実的でなく、日本の勝ち筋は製造業やロボティクスといった既存の強み分野にAIを掛け合わせることである。国内産業保護ではなく、グローバル市場で展開できる日本独自の付加価値創出に最優先で集中投資すべきである。
5. 安全性を高める技術(機密コンピューティング等)の活用支援
AIのリスクに対応するため、データセキュリティのような技術的な対応の発展を促進すべきである。計算途上のデータ暗号化を満たす機密コンピューティングなどの具体的な安全性向上技術について、政府から積極的に情報提供されることを期待する。
【人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針骨子案に対する意見概要】
1. 意見募集期間の確保
本指針骨子は民間企業の関与が必須の重要政策であり、産業界と協働する必要がある。意見募集期間が約1週間と短期間であったため、産業界の声を広く反映するためにも、1か月などの十分な期間を設けることを要望する。
2. 既存のガバナンスプロセスとの連携の明確化
事業者はAI要素を既存のガバナンスプロセスに加えて検討するため、指針の記載は、既存プロセスを把握した上で利活用することを念頭におくべきである。AI特有の事項を追加しつつ、必要に応じて新たな取り組みを開始するような表現への修正を希望する。
3. 透明性確保の取り組みが過度な規制とならないかの検討
透明性の確保は重要だが、その具体的な内容が事業者の自主的かつ能動的な取り組みの障壁や過度な規制とならないよう検討すべきである。検討時には、産業界の声を広くヒアリングする機会を設けることを強く要望する。
4. データに関する「配慮」の具体的な行動への落とし込み
「ステークホルダーへの配慮」における「配慮」は曖昧であるため、事業者の行動に具体的に落とし込める表現を希望する。例えば、合理的な範囲での情報提供といった、より具体的な行動を指す表現に修正すべきである。
5. 基本計画に対応する開発基盤増強・人材育成項目の追記
人工知能基本計画骨子にある「AI開発・利用基盤の増強・確保」と「AI人材の育成・確保」に相当する項目が、本指針骨子には見当たらない。継続性の観点から、エネルギー政策への投資や国主導での人材育成に関する具体的な活動項目を追記すべきである。
※提出意見の全文はこちらをご覧ください。
以上
