「JX Live!2025」開催レポート

新経済連盟が日本の変革(JX=Japan Transformation)に向けたメッセージを打ち出す周年イベント「JX Live!」。その第3回目となる「JX Live!2025」を、10月21日、六本木のグランドハイアット東京にて開催いたしました。
イベントでは「政策ラウンドテーブル」を軸に、「JX Awards表彰式」「JX Challenge」「ネットワーキングパーティ/JX Connect」「特別ディナー」のセッションで構成され、開催当日は会場の熱気さながらに、昨年を上回る550名以上の皆様にご来場いただきました。


「人、知、金を世界から日本に呼び寄せよう」というJXのメッセージを込めたオープニングムービーで「JX Live!2025」が開幕。開催に先立ち、「JX Live!」の概要をスペシャルナビゲーターの2人からお話いただきました。


スペシャルナビゲーター:
山根 太郎(新経済連盟 幹事/ミラタップ 代表取締役社長)
佐藤 志穂(LX DESIGN CYO/CPRO)

【ラウンドテーブル】
以下の3つのテーマで最先端の議論が繰り広げられました。特に今年は、参加者がラウンドテーブルの議論を聞いて感じた思いや考え、コメントをリアルタイムで会場のモニターに投影し、会場一体となって、今後の日本の展望について考えていきました。

■ラウンドテーブル①「異次元のスタートアップ政策」

1つ目のセッションでは、スタートアップ(SU)育成5か年計画策定から2年半を超え、折り返し地点に入る中、SUの一層の飛躍に向け必要な政策が議論されました。SUの数や地方発SU、大学発SUが大きく増加し、日本のGDPへの経済効果も22兆円と高まる一方、同計画で掲げたSUへの投資額10兆円の目標はまだまだ遠い現状にあります。SUの資金調達環境の改善として、政府のリーダーシップ明確化やVCの規模拡大・経営強化、SUと事業会社双方の利益になるオープンイノベーションの促進のほか、SUの海外市場開拓促進、海外投資家による日本のファンド出資の際の税制上のルール(PE特例)の見直し、大規模な政府調達によるSU支援などが提言されました。

登壇者:
菊川 人吾(経済産業省 イノベーション・環境局長)
志水 雄一郎(新経済連盟 幹事/フォースタートアップス 代表取締役社長)
田中 邦裕(さくらインターネット 代表取締役社長)
秦 由佳(産業革新投資機構 執行役員 ファンド投資室長)

モデレーター:
藤本 あゆみ(スタートアップエコシステム協会 代表理事)







■ラウンドテーブル②「経済活性化の鍵は?既存産業と働き方のアップデート」

2つ目のセッションでは、デジタルやAIの進展を見据えた産業構造と働き方のアップデートについて議論されました。来たる産業構造の変革のなか、高い生産性とモチベーションを持って働ける環境をつくるには、以下の点が重要ではないかという議論が展開されました。

①デジタル化・AI活用の進展に適合した産業構造の転換
・IT企業による製造業のM&A等によりDXを推進 M&A推進のためには会計基準(のれんの償却)の見直しも必要
・設備投資減税・研究開発減税による社会全体の供給力向上
・工業高校などの専門高校の強化、高卒新卒採用市場の創出

②各個人が自律的に自分のキャリアを舵取りし、リスキリングしていける仕組みへの転換
・スキルベース採用・昇進の普及
・ジョブごとの報酬とそのジョブに必要なスキルの可視化(こうしたスキルを身につけ、こういうジョブに就職すれば、これだけの報酬が見込めることを透明化し、各個人のモチベーションを向上)

③AI化が進む中での働き方
・AIを活用する中でも不可欠となる人間ならではのヒューマンスキル(コミュニケーション、創造性、心の知能指数(EQ)、意思決定能力 等)の育成
・AIで代替されにくい「身体性」を伴う活動を「面白さ」を持って追求する「いい意味でのオタク」の評価・育成

登壇者:
石田 裕子(サイバーエージェント 専務執行役員)
小林 史明(衆議院議員)
田中 若菜(リンクトイン 日本代表)
御立 尚資(京都大学経営管理大学院 客員教授)

モデレーター:
吉田 浩一郎(新経済連盟 理事/クラウドワークス 代表取締役社長 兼 CEO)







■ラウンドテーブル③「『失われた35年』逆転へのシナリオ」

3つ目のセッションでは、「『失われた35年』逆転へのシナリオ」をテーマに、日本が「失われた35年」の停滞期を脱し、再び国際競争力を回復していくために官民がすべきことについて議論されました。日本は今、長期にわたるデフレマインドの蔓延が破壊的イノベーションを阻害し、人や資金が集まらない「変化のない国」と見なされ、成長の源泉となる人やスタートアップへの投資が不足している状況です。こうした中、「変化を生み出せる国」とのメッセージを発信し、「人・知・財」の呼び込むことで、日本人が持つ高い独創性をマネタイズし、ビジネスにつなげる必要性が指摘されました。また、その際、民間投資を大幅に拡大するためのハイパー償却税制等の導入や、国際競争力向上などのための英語・日本語の「バイリンガル国家」宣言などによる、日本の強みを生かした人と技術力への徹底的な投資の必要性が提言されました。

登壇者:
猪口 邦子(参議院議員)
江幡 哲也(新経済連盟 幹事/オールアバウト 代表取締役社長 兼 グループCEO)
玉木 雄一郎(衆議院議員)(※リモート出演)
藤森 義明(新経済連盟 幹事/⽇本オラクル 取締役会⻑)
エミン ユルマズ(エコノミスト・グローバルストラテジスト レディーバードキャピタル代表)

モデレーター:
関 美和(MPower Partners Fund L.P. ゼネラル・パートナー)








ここで行われた議論を参考に、「スタートアップ成長のための政策」、「デジタル化・AIの進展に適合し、産業構造と働き方をアップデートするための政策」を柱とした「JX宣言2025 ~『失われた35年』逆転に向けての政策~」を公表しました。

【JX Awards表彰式】

今年で4年目となる「JX Awards」では、大賞1名、選考委員特別賞2名の計3名を、第一線で活躍する選考委員の投票により選出し、メイン会場にて表彰式を行いました。表彰式では、選考委員からお祝いのメッセージとトロフィーが贈呈され、受賞者からもスピーチをいただきました。大賞のエイターリンク岩佐代表取締役CEOをはじめ、これからの世界をリードする日本発の企業の若手経営者が、JXの体現者として集い、選考委員一同と会場参加者からエールが送られました。

受賞者:
【大賞】
岩佐 凌(エイターリンク 代表取締役CEO)

【選考委員特別賞】
加藤 真平(ティアフォー 代表取締役CEO)(※新海 正史CSOが代理出席)
岩崎 由夏(YOUTRUST 代表取締役CEO)

選考委員:
藤田 晋(新経済連盟 副代表理事/サイバーエージェント 代表取締役)
吉田 浩一郎(新経済連盟 理事/クラウドワークス CEO)
程 近智(新経済連盟 幹事/ベイヒルズ 代表取締役)
関 美和(MPower Partners Fund L.P. ゼネラル・パートナー)
クリスティーナ アメージャン(一橋大学名誉教授/横河電機社外取締役)























【JX Challenge】
自社PRイベント「JX Challenge」では、応募から選ばれた会員企業10社11名のチャレンジャーが、1社90秒でピッチを行いました。2回目の開催となった今回は、ラウンドテーブル・JX Awards表彰式と同様に、メイン会場のセンターステージを舞台として、各社による熱い自社PRが繰り広げられました。ジャッジチームと来場者による投票では、上位2社が同数票となり急遽決選投票が行われるという白熱した展開に。見事チャンピオンに輝いた鶴田 修一 Ph.D/コクリエ 代表取締役には、特別ディナーへの招待が贈られました。学生と2名で登壇する方や、注目を引くアイテムを使用する方などバラエティーに富んだ内容で、大きな盛り上がりを見せました。

チャレンジャー:
藤田 一清(テクノフジタ 新規事業開発室室長)
坂口 将人(角屋 営業本部長)
小木曾 裕介(OGIX 代表取締役社長)
浦坂 周(カスタメディア CEO)
高瀬 雅弘(フラクタルワークアウト 代表取締役 兼 CEO/メディカルフィットネストレーナー/健康経営アドバイザー)
鍛地 あさ子(ASAエンジニアリング 代表取締役)
グエン コン チン(CMC Japan 代表取締役社長)
小野 康佑(RePlayce 執行役員CSO 兼 営業本部長)
鶴田 修一(Ph.D/コクリエ 代表取締役)
中嶋 竜之介(ソマリ 代表取締役) 


ジャッジ・チーム:
江幡 哲也(新経済連盟 幹事/オールアバウト代表取締役社長 兼 グループCEO)
真田 哲弥(新経済連盟 幹事/KLab 取締役会長)
金井 美紀和(新経済連盟 幹事/パーソルコミュニケーションサービス 取締役副社長 執行役員)
大西 泰平(スタメン 代表取締役社長CEO)
大西 利佳子(コトラ 代表取締役)
藤本 あゆみ(スタートアップエコシステム協会 代表理事)




【ネットワーキングパーティー】
ラウンドテーブルから「JX Challenge」までの熱気そのままに、山根 太郎 幹事(ミラタップ 代表取締役社長)による乾杯の発声で、ネットワーキングがスタートいたしました。お酒と軽食を召し上がりながら、交流を深めていただきました。今年度は、会員企業であるClear様より、日本酒「百光 別誂」をご提供いただき、ご好評を博しました。また初の試みとして、繋がりたい人や議論したいテーマを自ら募ることができる「JX Connect」というネットワーキングスペースを設置。 新たな出会いや発見を楽しんでいただきました。



【特別ディナー】
ご協賛各社、各セッション登壇者、「JX Awards」受賞者、「JX Challenge」優勝者をご招待し、当連盟理事・幹事を含めたネットワーキングを目的とした特別ディナーを開催しました。ディナーの冒頭では、室伏広治様(東京科学大学教授・副学長(スポーツサイエンス担当)・グローバルスポーツサイエンスセンター(仮称)準備室長)、荒川静香様(プロフィギュアスケーター)をお招きし、藤田晋 副代表理事と共に「頂点からみた世界 -日本が世界一になるための未来戦略-」と題したスペシャルトークセッションも開催いたしました。世界の頂点に立ったご本人のご経験も踏まえた、選手育成、そしてスポーツ・エンタテイメントの両側面でどうやって世界レベルでこれから日本が戦っていくべきか、ビジネス界との連携を含めてご対談いただきました。「JX Live!2025」のエンディングにふさわしい、豪華なひと時となり、約60名の参加者の皆様の交流の時間は今年も大変盛り上がりました。




当日は、ラウンドテーブルでの熱い議論をはじめ、「JX Awards表彰式」「JX Challenge」「ネットワーキングパーティー/JX Connect」「特別ディナー」に至るまで、すべてのプログラムが盛況の内に幕を閉じることができました。ご協賛各社様、ご登壇者の皆様、そして550名超の熱意ある皆様に、心より御礼申し上げます。新経済連盟は今後も「JX(Japan Transformation)」を推進し、変革の担い手である皆様と共に邁進してまいります。
次回の開催もどうぞご期待ください。
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