2024年 代表理事 年頭所感

一般社団法人 新経済連盟を代表して、新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に引き下げられ、さまざまな社会活動が正常化した年でした。3年半に及ぶ長く暗いトンネルを抜け、日本各地で久しぶりにリアルのイベントが開催されるなど、日本全体が明るさを取り戻しました。

新経済連盟も7月にイベント「JX Live!」を開催し、会員企業や官公庁など、約500名のお客さまにお越しいただきました。このほか、1月から会員企業同士のリアルな交流会「Evening Meetup」を隔月のペースで開催し、累計参加者数は300人超に及びます。本イベントをきっかけに会員企業同士の協業やイベント共催、出資といったビジネスの展開にもつながるなど、大変ご好評いただいています。うれしいことに、会員企業間の横のつながりが強まっただけでなく、会員企業が他の仲間をイベントに呼んで、入会していただくケースも増加しています。昨年も新経連を支えてくださった会員企業各位、多大なるご支援を賜った各界の関係者の皆様に改めて御礼を申し上げます。

政策提言活動においても、昨年はうれしい出来事がありました。昨年6月、「デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案(デジタル規制改革を推進するための一括法案)」が成立しました。この法律は、書面・対面・押印の原則を撤廃する「デジタル原則」に基づき、デジタル規制改革を国の基本方針として定めるもので、新経連は2012年6月に活動を開始して以来、一貫して主張してきたことです。新経連の提言は、初めはやや突飛に思われたとしても、数年経ってその必要性が認識されることがよくあり、われわれは先を読み時代をリードしていく存在なのだと自負しています。

政府はここで改革の手を緩めてはいけません。来年には約800万人いる全ての「団塊の世代」(1947~1949年生まれ)が後期高齢者(75歳以上)となることで、国民の5人に1人が後期高齢者という超高齢化社会を迎えます。このままでは少子高齢化が今後さらに深刻化し、働き手がさらに減ることは目に見えています。日本の国民がこれまでの生活レベルを維持していくためには、誰がどのように働き、また、社会をどう支えるのかを新たに定義した上で、成長を維持していかなければなりません。

この状況に対し、「官頼みの経済から民主導の経済へ」と経済構造を抜本的に変えることが必要、と私たちは考えています。その経済構造の変革、さらには社会構造も含めて「日本を根本的に変えていく」ことを、私たちは「JX」(ジャパン・トランスフォーメーション)と呼んでいます。上述の「JX Live!」のタイトルはこのような思いを込めています。

具体的には主に、税金を引き下げること、スタートアップの成長に対する阻害要因を一つひとつ取り除き、次のユニコーンを育てること、そして移民を積極的に受け入れることが必要です。生産性を抜本的に高めるイノベーションを生み出すためには、外国人がもたらす多様性が不可欠ですが、税金が高い、あるいはスタートアップに対する規制が厳しいという状況を放置すれば、外国の高度人材は日本に来てくれないでしょう。日本人についても同様で、そのような状況であれば、社会課題を解決する有望なスタートアップが日本から海外に流出しかねません。今こそ私たちが団体の旗印に掲げる「イノベーション」「アントレプレナーシップ」「グローバリゼーション」が求められており、改革を実行するための時間的猶予は多くありません。

日本経済が世界と伍していけるよう、新経済連盟は「経済団体のスタートアップ」として、去年に増して政府に対する声を強めていきます。スタートアップを含む日本企業がビジネスをよりしやすくなるよう精一杯努めてまいりますので、本年も皆様の変わらぬご支援・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

2024年1月1日
一般社団法人 新経済連盟
代表理事 三木谷浩史

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