入国制限措置の緩和に向けて三木谷代表理事のコメント

2020年8月17日

入国制限措置の緩和に向けてのコメント

一般社団法人 新経済連盟
代表理事 三木谷 浩史

一般社団法人 新経済連盟(所在地:東京都港区、代表理事:三木谷 浩史、以下「新経連」)は、人材の多様性がもたらすイノベーションの促進、人手不足への対応、新たな需要の創出といった観点から、これまでも積極的に外国人材の受入れ促進に向けて政策提言を行ってきました。
現在、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、日本ではほとんどすべての国から、外国人は原則として入国が不可能(※1)となっています。この状態が長期間継続することにより、新たなビジネス機会・情報収集機会が喪失するだけでなく、外国人にとって日本が排他的で住みにくい社会だという認識が定着すれば、中長期的に日本の魅力を著しく低下させ、イノベーションを停滞させる原因ともなりかねませんので、下記のとおり、新経連の要望を公表いたします。

1.新経連は、人材の多様性がもたらすイノベーションの促進、人手不足への対応、新たな需要の創出といった観点から、これまでも積極的に外国人材の受入れ促進に向けて政策提言を行ってきた。

2.現在、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、日本ではほとんどすべての国から、外国人は原則として入国が不可能(※1)となっており、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」といった、身分に基づく在留資格を有する者ですら例外ではない。

 このため、ビジネス・留学等で日本を訪問しようとする外国人の往来は極めて困難なばかりか、日本に生活の本拠を置き、日本社会に多大な貢献をしている外国人についても、いったん出国すれば原則として日本に再入国できなくなることから、その活動に多大な制約を受けている状況にある。

3.この状態が長期間継続することにより、新たなビジネス機会・情報収集機会が喪失するだけでなく、外国人にとって日本が排他的で住みにくい社会だという認識が定着すれば、中長期的に日本の魅力を著しく低下させ、イノベーションを停滞させる原因ともなりかねない。

 なお、諸外国を見ても、永住者等を含めて厳格な入国制限の対象としている国は、少なくともG7諸国では日本以外には存在せず、新型コロナウイルス感染症の拡大が比較的抑えられているアジア諸国も例外ではない(※2)。また、入国時におけるPCR検査やトラッキングアプリの活用等を適切に行えば、少なくとも永住者等の入国制限を緩和することで生じる感染拡大リスクは極めて限定的であると考える。

4.以上のことから、日本政府に対し、以下の措置を取ることを要望する。

  • 入国時におけるPCR検査能力を速やかに向上させるとともに、できる限り早期に、永住者等の身分に基づく在留資格を有する者の入国制限を、原則として日本人と同程度に緩和すること
  • 上記の措置を取った上で、国内・海外の感染状況、入国時におけるPCR検査能力の状況を見つつ段階的に、就労可能な在留資格を有する者、留学生、その他の者に緩和措置を拡大していくこと
  • ビジネストラック及びレジデンストラックについては、できる限り早期に受付を開始するとともに対象国を拡大できるよう、関係国との交渉を加速させること
  • 日本国内に在留を継続する外国人については、在留資格の延長や、需要が減少した産業分野から人手不足の産業分野への人材移動の促進等さまざまな施策が取られているところであるが、引き続きこれらの支援策を継続するとともに、在留資格上必要な手当てを適切に行うことで、引き続き日本が外国人にとって魅力ある場となるよう努めること(※3)

以 上 

※1 日本への上陸の申請日前14日以内に上陸拒否対象国・地域における滞在歴がある外国人等が上陸拒否の対象とされている。対象国・地域は146か国(2020年7月24日以降)。なお、ビジネス上必要な人材等については、一般の国際的な往来とは別に例外的な枠を設置し、追加的な防疫措置を条件として双方向の往来を可能とする「ビジネストラック」及び「レジデンストラック」の仕組みを試行することとされている。2020年7月29日より、その第一弾として、タイ・ベトナムとの間の「レジデンストラック」について受付が開始されている。

※2  G7諸国では、例えば英国はすべての国に対して入国制限自体は既に撤廃している(入国後の行動制限は残存)。また、引き続き入国制限が取られている国であっても、永住者まで入国制限を行っている例はなく、多くの国では技能労働者、留学生等も含めて入国が可能となっている

※3 新経連は、本年5月22日、本件に関連する提言「コロナ問題の在留外国人への影響と必要な対応」を公表・政府に提出

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