【パブコメ】暗号資産新法の府令案等に対して意見を提出

2020年2月13日、新経済連盟は、金融庁が意見募集していた「令和元年資金決済法等改正に係る政令・内閣府令案等の公表について」に対して意見を提出しました。
  
【意見募集の対象】
金融庁「令和元年資金決済法等改正に係る政令・内閣府令案等の公表について」
 

 
【提出意見の概要】
  
1.STOへの対応について
  
【意見1】
「電子記録移転権利」の適用除外要件について、新しい資金調達手段としてのSTO育成とその先のセカンダリー市場創出の観点から、「1億円以上の資産保有要件(個人の場合)」を再考いただきたい
  
【理由】

  • 金融商品取引法上の第2項有価証券に位置付けられる「電子記録移転権利」の適用除外となる私募について、1億円以上の資産保有要件を課すことは、制度利用の事実上の障壁となる
  • デジタル化による流通性の増加は技術的に制限可能であり、加えて譲渡に際する発行者の承諾をもってリスク低減は十分になされていると考えるべき
  • 既存の私募制度(資産保有要件なし)とのバランスに照らしても、加重な要件である

【意見2】
そのほか、STOの制度設計に関して新経済連盟では以下の要望を提出しており、規制改革推進会議においてもプレゼンを行ったところ。今般のパブリックコメントに付されている範囲の如何に限らず、今後の制度設計にあたっては、米国の証券規制等も参考にバランスの取れた規制となるよう改めて要望したい
・2019年7月30日付「ブロックチェーンの社会実装に向けた提言」
・2019年12月20日付 規制改革推進会議 投資等ワーキング・グループ

 
2.暗号資産を原資産とするデリバティブについて
 
【意見3】
個人顧客に対する「約定時必要預託額」と「維持必要預託額」が取引額に「百分の五十を乗じた」額とされている点(暗号資産の種類によらずレバレッジ倍率2倍)について、現行自主規制水準の100分の25(4倍)か、暗号資産の種類ごとの設定など、リスクに応じた細やかな設定にすべき
 
【理由】

  • ビットコインとイーサリアム、他のアルトコインでは価格変動率(ボラティリティ)が大きく異なるにもかかわらず、暗号資産の種類や流動性を問わず一律の規制を課すことで、投資家にとってより魅力的な海外事業者での取引(資金流出)につながる恐れが高い
  • また、レバレッジ取引は市場の流動性供給に資する面があるところ、過度なリスク抑制によって市場に流動性が供給されなくなり、ボラティリティが高まることで、結果的に我が国の暗号資産取引において投機性が高まることも懸念される
  • 以上を踏まえ、個人向け取引に関するレバレッジ倍率については、今後の社会経済や業界の動向に応じて、リスク水準に適した細やかな設定となるよう見直すべきである
     
    【意見4】
    暗号資産等の市場リスク相当額算出にかかるリスクウェイトを100%と定める根拠が不明瞭であり、再考いただきたい
     
    【理由】
  • 市場リスク相当額算出にかかるリスクウェイトは、コモディティ等が18%である一方、暗号資産等は100%と定められているが、市場リスク計測の代表的指標であるボラティリティでみると、例えばBTCのボラティリティはコモディティであるWTI原油先物と同一水準である。5倍以上の設定は根拠不明瞭であり、加重な負担である。
     
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