9月26日、京都ものづくりベンチャー戦略拠点「Kyoto Makers Garage」(KMG)とのコラボイベント「紡ぐ tsumugu @Kyoto Makers Garage」 を開催しました。

9月26日、京都ものづくりベンチャー戦略拠点「Kyoto Makers Garage」(KMG)とのコラボイベント「紡ぐ tsumugu @Kyoto Makers Garage」 を開催しました。「Kyoto Makers Garage」は、京都中央卸売市場第一市場横のガレージを改装して9月1日にオープンしたものづくりベンチャー拠点で、「コワーキングスペース」、「メイカースペース」「ミーティングスペース」で構成される開放的な空間です。

今回は、このKMGを舞台に、新経済連盟会員企業の株式会社スペースマーケット 重松大輔・代表取締役を「先輩起業家」としてお招きし、京都で活動されているスタートアップ・起業希望者・起業支援関係者の方々を対象とした座談会・交流会を行いました。

 Kyoto Makers Garage

スペースマーケットは、会議室・カフェ・ホール・古民家等、多様なスペースを貸したい人と借りたい人をマッチングするサービスを行っている、今、大注目の企業であり、その創業者である重松様は、このイベントのコンセプトである、人と人がつながるコミュニティーを「紡ぐ」ことを、まさに実践されている方です。

座談会では、株式会社Darma Tech Labsの牧野成将・代表取締役をモデレーターに、ビジネスアイデアの考え方やトラブル回避の方法等、起業に関する課題・疑問について重松様にお答えいただきました。

以下、妙録です。(文中敬称略)

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重松)
NTTの社員だったが、同期が立ち上げたネットの写真販売ビジネスにジョインした。結婚式の写真を扱っていたのでよく結婚式場に行っていたが、結婚式場は、平日昼間はだいたい空いており、これの稼働アップができないか、と考えた。これからは人口が減少していくので、こういった空きスペースはどんどん増えてくる。ちょうどシェアリングエコノミーが盛り上がってきた時期だったし、空きスペースの活用は絶対にニーズがあると思い、起業した。

スペースマーケットは、パーティ、撮影、ミーティング等、色々な使い方がされている。特にキッチン付きのスペースは大人気。花見やバーベキューに使う人も多く、これまでは野外が中心だったこれらのフォーマット転換が起こっている。他にも、古民家や島を丸ごと借り切ったコスプレ撮影会や映画館での企業セミナー・ハッカソン等、貸す側も思いもつかないような使われ方がされている。

 重松大輔氏(株式会社スペースマーケット代表取締役)

牧野)
スペースシェアを選んだ理由は?

重松)
100個くらいアイデアを考えていた。ウエディングキュレーションメディアや産後院、保育園事務等のデジタル化など。そんな中、ある時「空きスペース活用」のアイデアが降ってきて、「これだ!」と思った。まわりの起業家等に相談したら「それはいい」と言われたので、起業した。ずっと考え続けていると、降ってきたものに対して、「これはいい」「これはダメ」と感じるようになる。「空きスペース活用」について言えば、不動産というマーケットはなくなることはないし、営業ハードルがややあるので、自分の強みも活かせると思った。

牧野)
どうやって起業の踏切りをつけたのか。

重松)
まわりの状況を見て、「あいつにできるのなら、俺にもできる」とか。ちょうど二人目の子供が生まれるタイミングで起業したが、最悪、前の会社に戻ればよいと思っていた。その頃はライブドアショックや、リーマンショックがあり、起業を巡る環境は必ずしも良くなかったが、今は数億円の資金調達とか当たり前になっている。周りの起業家を見ても立ち直れないような大失敗はあまり見ていない。どんどんチャレンジすればよいと思う。

牧野)
起業の落とし穴は。

重松)
一つ目は採用。ビジョンに共感し、その上で結果を出せる人を採らなければ。共感していても、結果が出せない人はダメ。しかも大企業の中で結果を出すのとは違い、何もないところから自ら課題を見つけて、それをやり切れる人。

また、キャッシュを気にして手元を厚くしておく必要はある。でないと、いざという時に勝負できないし、資金調達の苦しい時に足下を見られる。

会場から)
廃業した風呂屋のプロデュース事業をやっているが、どういったアプローチがよいか。

重松)
キッチンは万能。キッチンがあれば、仕事でもパーティでも使える。また、「元〇〇屋」なども良い。昔のポスターが貼ってあったり、レガシーを活かしてストーリーを見せることのできるところ。

会場から)
アイデアをどうやってビジネスとして成り立つレベルまで引き上げていけばよいのか。

重松)
徹底的に調べること。世界の中で似たようなことをしているところはないか、どういう勝ち筋があるか。成功しているプレイヤーを調べてみると、そこから見えてくるものがある。

会場から)
これまでの大きなトラブルの経験、また、トラブル回避のためにやっていることは。

重松)
会社の存続に関わるようなトラブルはない。部屋を汚したとか、前払いのシステムがなかった時代は金をとりっぱぐれた、とかはある。でも、ホストに対して事前にゲストとコミュニケーションをとるよう言ったり、カード決済を導入したり、そういう一つ一つの改善を積み重ねていくと、トラブルも自然に減ってくる。今ではレビューもワークしている。そうすると、このゲストは大丈夫とか、このホストだときれいに掃除しといた方がよいとか、情報が可視化されるようになる。

会場から)
ホストが物件を貸すには一定の心理的な抵抗があると思うが、そのハードルを下げるためにしたことは。

重松)
成功事例を発信していって、文化にしていくということ。初回ハードルを下げれば、どんどん増えていく。

会場から)
借り手側の開拓はどうやったか。

重松)
場所を増やすか、借り手を増やすかは、ニワトリとタマゴだが、まずは場所を増やそうとした。そのためにメディアに出まくって認知度を上げた。場所が増えて行くと、借り手はニッチな人から。コスプレイヤーが典型。あとクーポンなども活用し、増やしていった。

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座談会後には軽食の入った交流会が行われ、参加者の方々は聞き足りなかったことを質問したり、自身のアイデアを紹介したりと、先輩起業家との交流を深めていました。

重松様、KMG関係者の皆様、参加された皆様、本当にありがとうございました。

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