総務省が意見募集している「イノベーション創出委員会中間とりまとめ(案)」に関して、意見を提出しました。
総務省イノベーション創出委員会中間とりまとめ案に対する意見
1.総論・基本的に必要な施策
(1)イノベーションとは「新結合」との指摘はまさにそのとおりであるが、インターネット・ICTは新結合の最重要カタリストであるのでそれを徹底的に活用するという視点が非常に重要である。また、情報をどう押さえるかという国際的な競争があることを念頭に、日本が世界に先駆けて、情報の道を超低料金化し圧倒的なNO.1にすることが戦略的に重要である。
(2)インターネットやICTを活用して新結合を生み出すためには、以下の7つの視点が重要である。
- 対面原則・書面交付原則の撤廃
- インターネット/ICT・アウトバーン構想(通信網やインターネットは社会インフラと位置づけその利用自体に関してあらゆる規制をなくし全ての人に開放)
- 通信・放送インフラ等のガラパゴス化の見直し(NGNオープン化、有限な資源の電波のモバイルへの戦略的な活用等)
- エンジニアの質・量ともにレベルを大幅にアップ
- ベンチャー育成と海外企業の招致の促進
- クラウド利用の促進
- 国家運営の高コスト構造の抜本的改善
2.課題解決の方向性と具体的な施策
以下の事を推進すべきと考えます。
(1)「起業家」という存在を賞賛・応援する文化を醸成していく。
- 起業し、破壊的なイノベーションを起こした者に対する表彰・賞金授与制度(「日本ブレイクスルー大賞(仮称)」)を設けることにより、ロールモデルを提供する。
- イノベ―ション促進の象徴として、日本にシリコンバレーのような産学の拠点や、アジア地域内での「R&Dインキュベーション」のための拠点を、特区制度等を活用しながら日本に整備して内外にアピールし、イノベーションの成功事例をつくる。
- 内閣総理大臣官邸主催で「ハッカソン」を開催し、国内の技術者・プログラマー等が新技術・新サービス創出のための競争を行い賞賛される環境を整えるとともに、起業促進や新サービスへの民間投資を促す大きなきっかけを提供する。
(2)ベンチャー投資の活性化や起業・新産業創業を促す税制改革
- ベンチャー投資に対する税制優遇措置の拡充を図る。
- エンジェル税制の拡充(ベンチャー投資に対する寄付金控除適用としての所得控除を税額控除に変更、対象事業者の範囲の拡大等)
- ベンチャーキャピタルやベンチャーに投資する財団等に対する税制優遇
- 社内ベンチャーのスピンオフを促す税制を導入・強化する。
- 上場株式と非上場株式に係る譲渡所得の損益通算を可能とする制度が3年後に廃止される予定になっているが、それを維持するようにする。
(3)次世代を担うグローバルかつイノベイティブな人材の育成と招致
以下のとおりIT教育・起業家教育を推進する。
- ITスキル向上のために、コンピューターサイエンス、コンピュータープログラム(Scratchの活用等)、アプリ開発等に関する教育を教育課程に導入・拡充する。
- 生徒1人につき1台デバイスを付与しITリテラシーを向上させ、教育の中心を「考える力を導くこと」「人と違うさまざまな解決法を見つけること」へシフトさせる。デンマークの事例をベンチマークとする。
- プログラマー経験者や起業家を教師とし、実践的で質の高い教育を遠隔教育を活用して各学校に提供する。
- ビジネスイノベーション力を向上させるため、ファイナンス、経営学、マーケティング教育を教育課程に導入する。
- 世界中から優秀な起業家・技術者を集めるための施策を実施する。
- ビザの緩和、所得税制優遇等誘致策の抜本的な強化を図る。
- 日本の強みを海外にアピールし、招致活動を大使館等を通じて戦略的に行う。
(4)新市場・新産業を創出する徹底的な規制改革
- インターネットの利活用を阻害する規制を撤廃する(対面・書面交付原則の撤廃等
3.その他各論
(1)税制支援の検討 (中間取りまとめ案P31関係)
- M&A促進税制については、中小企業も含めて産業全体の新陳代謝が図られるよう制度設計すべきである。
(2)ビックデータの分析・利用環境 (中間取りまとめ案P40関係)
- ビックデータを基にした状況把握や将来予測のためには、官民のデータを集約するというよりも組み合わせて利用することが必要であることに留意が必要であり、官民のステークホルダーによる、イノベーションに迅速に対応した、プライバシーや国際間の連携などを考慮した制度的な検討が必要であることにも留意が必要である。
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