【パブコメ】「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則の一部を改正する省令案等」に対して意見を提出しました
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一般社団法人新経済連盟(所在地:東京都港区、代表理事:三木谷浩史)は、総務省が公表した「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則の一部を改正する省令案等」に対する意見を提出しました。
主な内容は以下のとおりです。
【大規模特定電気通信役務提供者の指定関係】
- 大規模特定電気通信役務の該当性のうち「不特定の利用者間の交流を主たる目的としたものでないもの」の「交流」の定義とは何か明確にすべきである。「交流」の定義次第では、不特定の利用者間の交流を主たる目的としたサービスの提供事業者の対象範囲が、「プラットフォームサービスに関する研究会」や「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」の議論で想定している事業者・サービス以外に規制対象となる可能性がある。想定している事業者・サービスが当初の想定以上に広がることは厳に避けるべきであり、規制対象に関する要件・規定については、立法事実に照らし、慎重に議論の上、対象事業者を限定すべきである。
【大規模特定電気通信駅提供者の対応の迅速化に係る規律関係】
- 侵害情報調査専門員に求める人材要件を、より具体的に記載する必要があると考える。第24条「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害への対処に関して十分な知識経験を有する者」とは、どの程度の専門知識をもちあわせることが適当と考えるか。また、「日本の風俗・社会問題に十分な知識を有する者」とは、具体的にどのような人材を指すのか。
- 申出者に対する通知を、総務省令で定める期間を「七日」とする根拠として、「プラットフォームサービスに関する研究会 第三次とりまとめ」のみを基に期間を設定することは適当ではない。大規模特定電気通信役務提供者向けの規定だとしても、送信防止措置や発信者情報の開示請求において、それ以外の事業者にも影響しうることも踏まえ、「七日」という日数について「プラットフォームサービスに関する研究会 第三次とりまとめ」の「一週間程度」に囚われることなく、改めて事業者側からも実務・実態を聴取した上で、慎重に検討すべきである。
【大規模特定電気通信役務提供者の運用状況の透明化に係る規律関係】
- 送信防止措置の実施に関する基準等の公表について、「プラットフォームサービスに関する第三次とりまとめ」では、削除指針の内容について、「過度に詳細な記載までは求めない」としていたが、他方、本ガイドラインでは「できる限り具体的に」定めるべきである、と記載されている。この点について、詳細な記載を求めることで、社会的に問題とされる投稿であっても、詳細な判断基準を公表することの難しさから、事業者による主体的な運用をしづらくしたり、公表できないことを理由に積極的な対応がなされない事態を招く恐れがある。一方で、コンテンツモデレーションに関する基準が公表されないと、事業者が恣意的に運用して表現の自由を侵害する恐れがある。主体的な運用の促進と表現の自由の保護とのバランスをどのように取るべきと考えているか。
- 措置の実施状況等の公表を通じ、事業者に対する行政の指導や措置等の裁量が極めて大きくなることが懸念される。事業者の措置の実施状況等の公表に関して、行政による評価や取り組むべき事項、あるべき指針の内容への指摘等を通じて、事業者が策定する指針や取組の内容が実質的に行政の裁量によって決められ、さらには一定の取組が実質的に義務付けられることとなり、送信防止措置の実施に関する基準等に沿った事業者による自主的な取組という趣旨を逸脱する仕組みとなることが懸念される。したがって、当該項目については、上記のような結果につながることがないよう、極めて慎重な対応が必要であるが、今後どのような方針に沿って運用をしていく予定か。
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