【パブコメ】文化庁「AIと著作権に関する考え方について」に対して意見を提出しました

一般社団法人 新経済連盟は2024年2月9日、文化庁が実施した「AIと著作権に関する考え方について」に対して、意見を提出しました。
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【意見の概要】

  1. グローバル社会において、競争力のある質の高いAIを継続的に開発・提供していくには、「コンテンツ創造とAI学習・生成の好循環」の構築を目指していく必要がある。クリエイターとAI事業者が新たな価値を共創する体制を構築することが、我が国の持続可能なイノベーションにとって必要不可欠。今後、政府においては、著作権法30条の4の運用に関するガイドライン(ハード・ロー)を超えて、ソフト・ローの運用を含めたAI学習に向けたライセンス市場の整備にも尽力されることを期待する。

  2. 生成AIによる生成物が具体的にどのような要件の下で「作風」と評価されるのか「創作的表現」と評価されるのか(すなわち両者のメルクマール)が当該箇所の記述だけでは不明確であることから、この点につき、具体例に即するなどして更に記述等を補うことにより、生成AIの開発者・利用者双方にとって予見可能性が高まるようにされたい。

  3. 「RAG等であっても、対象データに著作物を含むが回答の生成に際して既存の著作物の創作的表現を出力することを目的としないものである場合は、その開発のために行う著作物の複製等について、非享受目的の利用行為として法第30条の4が適用され得ると考えられる。」と記載されているところ、「ファインチューニングやRAG等で、他者に著作権のあるデータを参照させてしまう恐れがある」、という声もあることから、既存の著作物の創作的表現を出力することを目的としないものであると評価されるための具体的な技術措置等を提示してはどうか。

  4. AI利用者は、通常学習データを知り得ない場合が大半であると考えられるため、「AI利用者が既存の著作物(その表現内容)を認識していなかったが、当該生成AIの開発・学習段階で当該著作物を学習していた」という記述は、一見するとAIの利活用促進の障壁になりかねない。AI利用者側が著作権侵害を回避するための具体的な方策を、追記すべき。

  5. 産業界においては、生成AI等の適切・安心な利活用に向けて、より具体的な著作権侵害を回避するための方策を知りたいという声も挙げられている。著作権侵害の具体的な事例・被疑事例は著作権侵害の回避に向けて有益な情報になることが考えられることから、今後の重要課題として早急に検討を行って頂きたい。
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