地域交通問題についての見解

2023年12月6日
一般社団法人 新経済連盟

一般社団法人新経済連盟(所在地:東京都港区、代表理事:三木谷浩史、以下「新経済連盟」)は、デジタル行財政改革会議や規制改革推進会議等で現在議論されている、ライドシェアを始めとした地域交通の問題について、あらためて考え方を以下のとおり明らかにします。

1. 現状の課題認識
構造的なドライバー不足等に起因する、地域・都市・観光地等での各種交通問題に的確に対処するためには、国民や住民に移動手段を適時適切に提供することが、ナショナルミニマムとして必要不可欠であり、喫緊の課題である。

2.問題解決の基本的な方向性
(1)既存の交通手段やサービス提供方法のみにこだわらず、多様な主体による多彩なサービス方法を総動員する形で、当該問題の解決に向けて取りうる選択肢はすべて講ずるべきである。
(2)実需への機動的かつ柔軟な対応が可能となるように、ライドシェアの実現に向けた規制改革(道路運送法第78条第2号及び第3号に関する規制制度改革だけでなく抜本的な新法の検討及び実施)を早急に行うべきである。

3.新経済連盟のこれまでの取組み
新経済連盟では、現在深刻化しているタクシー不足について、2018年時点ですでに指摘している。同年、そのような事態を回避するための具体的な立法提案を行っており、政府や各自治体は、これをベースにした制度設計の検討や、サービス実装に向けた検討を早急に行っていただきたい。

【提案のポイント】
・プラットフォームとドライバー双方に責任を課す制度設計を新法として導入することにより、安全性の担保は可能
・運行管理や車両整備管理、事故発生時における責任の主体や、犯罪防止策など安全性担保に向けた具体的な措置を提案
・立法提案本文はこちら
  
4.規制改革の具体化に当たって必要不可欠な留意事項
(1)実施対象
種々の交通需要に対応し、ビジネスとしてサステナブルな制度とするために、過疎地域等の特定の地域に限らず、広く全ての地域と時間で一般的にライドシェアを可能にすること。
(2)実施主体
・タクシー事業者を前提としたものだけでなく、実施主体の多様性・新規参入の確保を図ること。
・「特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」の対象とすることを前提としないこと。
(3)運賃・料金
・実費だけでなく、利潤を含む適正な運賃や料金の設定を可能とすること。
・金額について上下限等を定めず、ダイナミックプライシング等の柔軟な設定も可能とすること。
(4)供給上限
機動的に実需に対応できる仕組みを確保することとし、台数制限等は導入しないこと。
(5)その他
・デジタル技術の活用を踏まえ、運行管理については、タクシー事業者に係る既存の仕組み(40車両ごとに1人の運行管理者を求められるなど)を前提としないこと。
・ナショナルミニマムの維持とシェアリングエコノミーの観点から、自家用車及び自家用車ドライバーの積極活用による交通分野での助け合いを促進する必要があるため、事業者とドライバーとの契約関係は雇用契約に限定すべきではないこと。
・地元での協議義務を設定しないこと。

以上

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