会員セミナー「ビットバレー2020 – 渋谷が日本のシリコンバレーになる日 – 」( 東京急行電鉄様との共催 )開催しました
2月20日開催「BIT VALLEY 2020 ~渋谷がシリコンバレーになる日~」を開催しました。
新経済連盟と東京急行電鉄株式会社共催で、同連盟会員および東急電鉄オフィステナント入居企業を対象とした勉強会「「BIT VALLEY 2020 画像~渋谷がシリコンバレーになる日~」を開催しました。
会の冒頭、東急電鉄の田熊氏から、現在進められている渋谷再開発の概要について説明がありました。「Entertainment City SHIBUYA」というコンセプトのもと、建物ハードのみではなく、ソフトを含めてまち全体をつくる大規模な再開発が進められていることが説明されました。
ゲストスピーカーの一人目として、東急グループとスタートアップ各社との事業共創プログラム「東急アクセラレートプログラム」を立ち上げた東急電鉄の加藤様から講演を頂きました。
日本はGDP世界3位である一方で、成長率は他の先進国に比較すると低く、バブル崩壊以降の失われた20年の中で大企業はイノベーションを起こしづらい構造になっているとのお話がありました。
Google、amazon、Airbnbなどアセットを持たないIT企業が、近年世界的にそのプラットフォームを広げている状況下、国内企業は「協創」「競合」「従属」「撤退」のいずれかの選択を迫られていると指摘し、安定性・効率性・合理性を追求する従来型の思考から脱却し不確実性の高い新しい事業創造にチャレンジしていくことの必然性、そのためにもスタートアップエコシステムをつくることの重要性、などについてお話をいただきました。
また、東急電鉄の行うアクセラレートプログラムについて、具体的な事例が挙げられ、アクセラレートプログラムは、東急の持っているリアルなマーケットとの接点を生かした協創活動が可能であることが説明されました。
加藤 由将 氏 小田嶋 Alex 太輔 氏
二人目のゲストスピーカーとして、渋谷にスタートアップコミュニティ拠点を新設した「EDGEof」からCo-CEOの小田嶋様をお迎えしました。
EDGEofの設立経緯や活動コンセプトの紹介に併せて「Open Innovation」がEDGEofのコアな考え方であることが述べられ、互いの資源・強みを活用した共同開発であること、お互いの不足している部分を補うこと、相互活用であることがOpen Innovationの核であると話されました。
またOpen Innovation先進国であるフランスでの事例を取り上げ、日本ではスタートアップとの連携がまだまだ十分ではないことを示しつつ、「失敗するなら挑戦しないほうが良い」といった将来性よりも確実性を重視しがちな日本人の意識や、中間管理職が挑戦にインセンティブを感じづらい企業の仕組みなどについて指摘がなされました。
併せて、「広告宣伝費名目でのイノベーション活動への挑戦」や、「海外投資等損失準備金制度の援用の可能性」など、具体的な対処法のヒントや、政策提言アイデアなどが示されました。
ご講演の最後には、「正しい失敗を許容する文化を育む」というマインドを日本に根付かせたい、渋谷においてもイノベーションを起こしたいのならまずは文化から変えていかなければならない、とのお話をいただきました。
講演後の両氏によるクロストークでは、近年のシリコンバレーについて「ハードウェアとしての機能失われてはないもののマインドの変化が見受けられる」との指摘がありました。イノベーターは「楽しさ」に惹き寄せられるのであり、シリコンバレーでは本当におもしろいものが以前ほど生まれなくなっている感覚があるのではとの見方が述べられ、渋谷においてもイノベーションが生まれる街を目指すのであれば、常におもしろくある必要がある、との意見が出されました。
また、多くのイノベーションを生み出してきたシリコンバレーや、スタートアップとの協創に注力しているフランスの話を踏まえつつも、各地ごとにそれぞれ背景が異なるので、他を後追いするのではなく、渋谷は渋谷としての個性を大切にしていくべきであり、また、渋谷の個性は、日本全体の特徴づけの一つにもなるのではないかとのお話をされました。
最後に、ナイトタイムエコノミーの活性化についても話題にあがりました。渋谷は、交通面の問題も含めて夜遊べる環境が整っているとはいえません。日中の経済活動には限界があるので、夜に人々がどう活動的になりお金を消費するかが経済の活性化につながるとの指摘がなされました。
講演、クロストークの後には懇親の場が用意され、登壇者を含めた来場者間での交流・ネットワークづくりが進められました。講演・クロストークでの内容や、各社の事業について、多様な意見交換が進められました。
ご講演いただいた田熊様、加藤様、小田嶋様、会場をご提供くださった東京急行電鉄株式会社様、ご来場いただいた会員の皆さま、ありがとうございました。
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