2月22日、2月度会員セミナー「プログラミング教育セミナー」を開催しました

2016年2月22日、「プログラミング教育セミナー」を開催しました。
   
新経済連盟は以前よりプログラミング教育の普及・促進に向けて検討を続けてきました。昨年4月にはそれまでの議論の成果を提言としてまとめて政府に提出し(https://old.jane.or.jp/topic/detail?topic_id=358)、6月の政府「日本再興戦略 改訂2015」では、「若年層に対するプログラミング教育の推進」が盛り込まれるに至りました。
   
今回のセミナーは、このような経緯を踏まえてプログラミング教育の現状と課題を共有し、その推進を社会に広く発信していくために企画しました。会場には多くの会員企業の他、メディアの方々にもご参加いただき、このテーマについての関心の高さを改めて感じることができました。
   
冒頭、新経済連盟事務局政策統括の小木曽稔がセミナーの趣旨や昨年提出した提言の内容について簡単に説明した後、文部科学省情報教育課長の磯寿生様にプログラミング教育に関する政府の動向や文部科学省の取組についてお話しいただきました。
   

磯寿生様(文部科学省情報教育課長)
   
磯課長は、プログラミングに関する政府方針や、プログラミングに関する教員用指導手引書(企業、NPO法人等の協力を得ながら行われる実証校での授業実践の成果を踏まえ策定)や平成28年度から実施予定の情報教育推進校(小・中・高等学校における教科横断的な情報活用能力の育成にかかる指導モデル作成、指導方法の研究等を行う)などの文部科学省の関連施策の概要を説明され、プログラミングに関する学習活動を充実させていくことの必要性を強調されました。
   
続いて、CA Tech Kidsの上野朝大 代表取締役社長に、民間におけるプログラミング教育の現状についてお話しいただきました。CA Tech Kidsは子供向けのプログラミング教室を展開している企業であり、上野社長には新経済連盟教育改革PTのプログラミング教育分科会の責任者として議論をリードしていただいています。
   

上野朝大様(CA Tech Kids 代表取締役社長)
   
上野社長は、まず低年齢からのプログラミング教育が世界的な潮流であることを示し、日本でも「子供にさせたい習い事ランキング(2015年)」でプログラミングが8位になるなど、その必要性が浸透しつつあることを説明されました。一方で、地方では未だ認知度が低く、また継続的な学習カリキュラムを備えたスクールが少ないなど、まだまだ課題が多いことも事実のようです。
   
上野社長はこれからの時代を担うのは「ITを使って自分がやりたいことを自分の手で実現できる人材」であるとし、そのような人材の育成にCA Tech Kidsとして貢献したいという思いを述べられました。プレゼンテーションの中では実際にCA Tech Kidsで行われているプログラミング授業のデモンストレーションも見せていただき、子供たちが楽しく学べる理由の一端を感じることができました。
   
最後に、愛知教育大学准教授の磯部征尊様に、イギリスにおけるプログラミング教育の現状についてお話しいただきました。イギリスは早くから情報教育の先進国であり、中でも2014年には「消滅か、再出発か?」という刺激的なタイトルの報告書の下、5~16歳が必修の「コンピューティング」の授業が導入されました。
   

磯部征尊様(愛知教育大学准教授)
   
「コンピューティング」は、アルゴリズム・データ構造等を扱う「コンピュータ科学」、コンピュータを適切・効果的・安全に使う一般能力を培う「ディジタル・スキル」、目的達成のためのディジタルシステムのデザイン・応用を扱う「情報技術」で構成され、キーステージと呼ばれるイギリス特有の教育段階ごとに授業が行われています。学校の各教室にはデジタルスクリーンが設置されており、教員や教員志望者へのプログラミングのトレーニングも充実が図られているそうです。
   
磯部様のプレゼンテーションの中では、実際のイギリスの学校でのコンピューティングの授業風景も動画で見せていただき、この分野の先進国におけるプログラミング教育の状況について具体的なイメージをもって理解することができました。
   
   
このセミナーを踏まえ、新経済連盟では今後もプログラミング教育の推進に向けて活動を進めてまいります。今回ご登壇いただいた講師の皆様、ご参加いただいた会員企業、メディアの皆様、本当にありがとうございました。
   
   
   
提言・ニュース