1月20日、人口問題PT小セミナー「人口減少社会の新ビジネス(第4回・労働力としての外国人)」を開催しました

2016年1月20日、「少子化・人口問題検討プロジェクトチーム」の下で行っている小セミナー、シリーズ「人口減少社会の新ビジネス」の第4回「労働力としての外国人~楽天・ジェイコムの海外人材戦略~」を開催しました。
人口減少による労働力不足を補完するための選択肢の一つが「外国人」であり、昨年から「移民の受け入れ」といった文脈で議論が盛り上がりつつあります。今回は、労働力としての外国人の活用を活発に行っている企業二社から人事担当者をお迎えし、その現状や課題についてお話しいただきました。
   

我堂佳世氏(ジェイコムホールディングス株式会社 取締役経営管理部長)
   
お一人目の講師、ジェイコムホールディングス株式会社取締役経営管理部長の我堂佳世様からは、介護職や販売職における外国人材の採用・活用についてご説明いただきました。日本人で介護職に就く人が絶対的に足りない中、ジェイコムHDでは既にビザを持っている外国人の介護職員としての採用を進められています。一般的に、介護には高い日本語能力が求められると考えられていますが、実際にはそれほど日本語が上手くなくても仕事をこなすことができ、「できないことだけが無用にクローズアップされている」状態だと、我堂様は強調されました。現在、ジェイコムHDは「外国人技能実習制度」の介護職への拡大を視野にした「介護業界における外国人技能実習制度研究会」の幹事を務めており、我堂様は、「現場の実態に沿った制度となるよう発言していきたい」と決意を述べられました。
また、インバウンド観光客の増加に伴って、家電量販店等の販売職にも外国人の活用を進めており、採用した外国人販売員は極めて優秀で、販売実績でも定着率でも高い数字を残していることが報告されました。
   

久保木誉延氏(楽天株式会社グローバル人事部採用推進課マネージャー)

   

もう一人の講師、楽天株式会社グローバル人事部採用推進課エンジニア採用グループマネージャーの久保木誉延様からは、楽天における外国人の採用と社内グローバル化の方策についてお話しいただきました。現在、優秀なエンジニアは世界中で奪い合いになっており、これを踏まえて、海外の人材を採用しやすいように楽天がまず行ったのが、社内公用語の英語化でした。社内では様々な英語トレーニングが行われており、現在では全社員のTOEIC平均点は800点を超えているそうです。これによって社内のグローバル化が進み、今では社員の国籍は65ヶ国以上、エンジニアの80%が海外人材になっています。
   
英語化以外にも様々な工夫が為されており、例えば採用に関しては、日本語版とは全くコンテンツの異なるグローバル版のウェブサイトの作成、世界中の拠点で採用情報を共有する「グローバル採用プラットフォーム」の導入、オンライン面接などの取り組みが行われています。特にエンジニアについては、職種ごとの即戦力採用、毎月入社が可能な通年選考、能力に応じた給与オファー等、グローバルスタンダードを強く意識した方策が採られているようです。また、住居・ビザ・銀行口座等のサポート、慣習に合わせた食事を提供する無料カフェテリアなど、海外人材の生活支援も充実が図られているそうです。
   
参加者との意見交換では、技能実習制度の在り方や「ダイバーシティ」と「インクルージョン」の関係性、日本で働くことの魅力の伝え方など、多岐にわたる質問が出され、非常に有意義な議論ができました。
   
人口問題PTでは今後もこの小セミナーを継続し、その内容を踏まえて、政策提言を作成・発出する予定です。今回講師としてお世話になった我堂様、久保木様、そしてご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
   
   
   
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