企業価値向上プロジェクト第1弾「刺さるIRとは?」を開催しました
新経済連盟は1月22日(月)、東京証券取引所にて「企業価値向上プロジェクト第1弾「刺さるIRとは?」」を開催しました。大型株ではない企業の多くが「機関投資家と接点を持つ方法」「海外投資家向けIR」などに課題を感じているなか、IRの現状と課題を熟知したエキスパートの話を活かしてIRを強化していただき、国内株価の上昇をさらに後押しすることができれば、という思いで企画しました。東京証券取引所から岩永守幸社長、新経済連盟から辻庸介幹事(株式会社マネーフォワード 代表取締役社長CEO)、齋藤正勝幹事(=モデレーター、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド 取締役副社長)が登壇するパネルディスカッションを行いました。
IRにおける機関投資家との接し方について、辻幹事は、「上場前は将来の夢を語るのがVCへのプレゼンテーションだったが、上場後の機関投資家に対しては実際にできることや事業の継続性に関する説明を求められた」「上場当時、SaaSという特殊な分野だったものの、日本のDX海外の機関投資家の意思決定は早かった」と経験を振り返りました。また、上場当時の苦労したこととして、「IRのノウハウが自社になかったこと」「投資家のリスト作成」「SaaS事業に関する認知度の低さにより国内投資家の理解を得られにくかった点」を挙げました。岩永社長は「自身の会社の成長段階や時価総額に応じて機関投資家への説明方法も変えていくことが求められる」と指摘。東証としても発行企業が機関投資家との接点をもてるよう、「東京や地方でマッチング機会の場を提供していきたい」と話しました。
IRのための組織づくりについて、マネーフォワードは長い期間、IR専任者は配置せず、CFO直下のチームが兼任してき たといいます。理由として辻幹事は「事業の予算作りなど現場に近い業務も行っている担当者のほうがIRの解像度が上がる」点を挙げました。また、海外機関投資家と接するため、「英語能力は必須」(同)と指摘しました。
岩永社長は、東証が1月15日に公表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について開示を行っている企業の一覧について、予定も含めると約半数が開示していると評価し、決算期までにより多くの企業が開示を行い、企業価値向上に向けた実効的な取り組みが進んでいくことに期待感を示しました。このほか、英文開示・海外投資家対応について、8割以上の海外投資家が英語によるさらなる情報開示を期待しているというアンケート結果を示しつつ、「翻訳技術が格段に向上している事実も踏まえ、企業には積極的な対応をお願いしたい」と言及しました。
アンケートからは、「1時間では足りないほど濃い内容だった」「IRに関する直近の情報をアップデートできた」「普段では聞くことのできない当事者の意見が参考になった」という声をちょうだいしました。
セッション終了後は交流会「株価爆上げNight!」を開催しました。パネルディスカッションに参加したお客さまの多くが参加されました。IRに関する課題・解決法を共有する機会となり、大いに盛り上がりました。ある会員企業からは「当社は時価総額100億円以下なので、機関投資家との接点づくりに悩んでいる点を他の企業さんと共有できた」という感想が聞かれました。
今回は企業価値向上プロジェクトの「第1弾」であり、第2弾以降、IRのより実務的な視点で講座・イベントを企画してまいります。引き続きご注目ください!