2019年 代表理事 年頭所感

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 
2012年に活動を開始した新経済連盟は、早いもので7年目を迎えました。この間、第4次産業革命を背景とした経済のデジタル化に対応し、将来にわたって国際競争を勝ち抜いていくため、ITの戦略的な利活用を軸とした新産業の推進に向けて、民間の立場から精力的に活動してまいりました。

 
昨年を振り返れば、4月には「新経済サミット(NEST)2018)」にて、我々の包括的な政策パッケージである「Japan Ahead 2」を発表するとともに、ジョン・ジマー氏(Lyft Inc. 共同創業者兼社長)やマーク・べニオフ氏(セールスフォース・ドットコム 会長兼CEO)など世界中から著名なイノベーターの方々をお招きし、これまでの既存のビジネスモデルにとらわれない革新的なアイデアについて語っていただきました。

 
また、10月には、新経済連盟の関西支部を中心とした「KANSAI SUMMIT 2018」を開催し、国内外より新進気鋭の起業家の方々にお集まりいただき、熱意あふれるパネルディスカッションが行われ、関西での活動にも大きな手応えを感じているところです。

 
さらには、社会課題の解決に向けた「ライドシェア新法」や「外国人受け入れとイノベーション促進」など政策提言の政府への提出、世界の最新動向を体感するシリンコンバレー視察やサイバーセキュリティ先進国である北アイルランド視察など、多方面にわたり活動を行ってまいりました。

 
さて、このような活動を軸としながら、更なる我が国の国際競争力強化に向け、本年は明治維新、戦後に続く「第三の開国」を活動テーマに掲げたいと思います。

 
今、世界ではデータ活用企業がグローバル市場を席巻しています。昨年の世界時価総額ランキングでも上位に日本企業の姿はなく、産業構造の転換が進んでいないことに原因があることは明らかです。ダイバーシティを確保し、世界と戦える日本発のイノベーション企業を育てるための環境整備が急務ですが、現状の規制では、むしろイノベーションの阻害要因となっている可能性すらあります。事前規制中心から事後規制中心に変えていくなど、企業活動の透明性が確保され、データが大きな付加価値を生むデジタル経済を前提とした法制度への改革が必要不可欠となっています。

 
そこで、本年は①デジタルシフトに対応した経済のグランドデザインを描く「グランドデザイン」、②時価総額1兆円企業の集まりを目指す「イノベーション促進」、③ダイバーシティの実現と労働力人口を確保する「移民・共生政策」の3つのプロジェクトチーム(以下、「PT」)を中心に活動いたします。

 
1つ目のグランドデザインPTでは、税や規制のイコールフッティングやデータポータビリティーなどのデジタル経済下での競争政策、マイナンバー活用拡大やデジタルワンストップの実現など政府・民間のデジタル化に向けた整備などを議論し、時代を見据えた在るべき日本の絵姿について、新経済連盟としての考え方を打ち出していきます。2つ目のイノベーション促進PTでは、リスクマネー供給のための事前規制見直しや法人税・企業会計改革など、企業の成長ステージに応じた規制改革に加え、イノベーションを促す官民共同組織などを提言していきます。そして3つ目の移民・共生政策PTでは、先日政府に提出した移民基本法や外国人の共生政策の深掘り、さらには入管法改正をふまえた政府への提言を考えています。

 
これからは政治や行政だけでなく、企業が中心となってルールメイキングをしていく時代です。起業家を多く抱える新経済連盟だからこそ、現在の激化する国際競争を勝ち抜くためのリアルな声を、新経済を牽引する皆様に届けるとともに、時代を見据えた日本の新しい絵姿である「第三の開国」を実現させ、会員企業の方々を中心とした関係者の皆様と、時代を先導する役割を今年も果たしていく所存です。

 
本年も皆様の変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 
2019年1月1日
一般社団法人 新経済連盟
代表理事 三木谷浩史

 

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