第27回参議院議員通常選挙公示にあたっての新経済連盟代表理事のコメント

一般社団法人 新経済連盟(所在地:東京都港区、代表理事:三木谷浩史、以下「新経連」)は、本日、第27回参議院議員通常選挙が公示されたことを受け、新経連代表理事のコメントを下記のとおり発表します。
2025年7月3日
一般社団法人新経済連盟
代表理事 三木谷浩史
記
昨今の日本経済は、ドルベースでの名目GDP成長率が過去20年間でG7諸国中唯一のマイナスを記録し、IMD世界競争力ランキングも低迷するなど、国際的なプレゼンスの低下が顕著となっています。特に、インターネット、スマートフォン、クラウド、AIといった「仮想経済」が主役となる現代において、これに適応できない既存の税制や規制は、経済成長を阻害し、「デジタル赤字」を深刻化させています。この停滞を打破し、日本を「人・知・金が集まる国」として再興するためには、「民でできることは民に」という基本原則に基づいた、抜本的かつ一体的な構造改革が不可欠です。
新経連は、この「日本再興」に向け、以下の5つのテーマについて、各政党や立候補者の方々が各々の考えを明らかにし、具体的な政策論争が展開されることを強く期待します。
1.税制改革:
日本の所得税、法人税、相続税、キャピタルゲイン課税の最高税率は、他国と比較して依然高く、国内外の人材や資金の流出を招く要因となっています。税率を引き下げ、「税と成長の好循環」を実現することで、国内投資を促進し、経済活性化による税収の増加を目指すべきです。また、AIやソフトウェア投資を後押しするハイパー償却税制や研究開発税制の強化、日本企業の国際競争力強化に向けた税制見直しも重要です。
2.規制改革:
複雑で予見可能性の低い過剰な規制は、企業活動の阻害要因であり、イノベーションを阻んでいます。デジタル活用やAI、ブロックチェーンなどの新技術の社会実装を支援し、生産性向上や新市場・新産業創出を促すため、客観的なデータに基づいた「スマートレギュレーション」による規制制度の再構築を実施すべきです。新規規制導入時に既存規制を撤廃・削減する「規制対応コストベースの総量規制」の導入も検討が必要です。
3.地方制度改革:
東京一極集中と地方の過疎化が進む中、持続可能な地域社会を構築するため、地方の財政的・行政的自律性を高め、創意工夫を引き出す改革が必要です。DX活用による行政効率化、税源移譲の検討、そして「頑張る地方を応援する仕組み」として、ふるさと納税の活性化、地方移住応援税制の創設や企業本社移転促進のための税制措置、企業城下町創出などを通じた地方の活性化を推進すべきです。
4.働きがい改革:
一律に働く時間を減らす方向に偏りがちだった従来の「働き方改革」から、働く人の内発的動機を重視した「働きがい」の向上を目指す「働きがい改革」へとシフトすべきです。高度プロフェッショナル制度の拡充や、新たな「成長支援型労働制度」を創設するとともに、「働き方改革」の検証や様々な分野の人手不足の実態把握、政策的対応の検討などを行う「働きがい改革検討会議」を設置すべきです。
5.外国人リソースの戦略的活用:
イノベーション促進のために優秀な外国人材を積極的に呼び込む施策が必要であることはもちろん、少子高齢化による構造的な人材不足が深刻化する中、働きがい改革や省力化投資に加え、厳正な在留管理と共生政策を前提とした外国人リソースの戦略的活用や人口戦略に関する基本方針の策定が急務です。
新経連は、今回の選挙戦を通じて、日本の未来を決定づける具体的な対応策が示され、議論されることを強く期待するとともに、「経済団体のスタートアップ」として、民間の力が最大限に発揮され、日本経済がいっそう世界と伍して発展していけるよう、引き続き政府への政策提言を積極的に行っていく所存です。
以上
※なお、新経連では上記の政策テーマについて参議院議員選挙の立候補予定者にアンケートを実施し、回答が得られた方々のうち、アンケートの回答内容、これまでの政治活動や社会貢献活動の実績等、多角的な視点から、当連盟の主張と極めて高い政策的な合致を示され、その実現に向けた強い意欲と行動力を有すると判断した立候補者、並びに、当連盟が特に重要視する政策テーマへの深い洞察と実行力を有すると判断した立候補者を当連盟ウェブサイトで公表しています。