「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案」の閣議決定に当たってのコメント

2024年4月26日
一般社団法人 新経済連盟
代表理事 三木谷浩史

一般社団法人新経済連盟(所在地:東京都港区、代表理事:三木谷浩史、以下「新経連」)は、「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案」の4月26日付閣議決定を受けて、代表理事のコメントを発表します。

1.新経連では、モバイルOS・アプリストアの寡占構造に由来する課題(※1)及びその解決の必要性についてこれまで何度も提言をし、法制度の環境整備を提案してきた。その考えは依然として変わらず、早急に解決されるべき課題と考える。

2.本件は世界中で議論や対応がなされており、サービスが越境して提供されることが一般的となった昨今においては、国際的にも連携して対処すべき喫緊の課題である。

3.上記1.及び2.の基本的な考え方に基づき、まずは、今回の法案を一刻も早く成立させることが必要不可欠である。

4.なお、今後の法制度全体の内容と解釈運用において、上記の問題解決に必要な競争環境の整備を行っていくべきである。具体的な事項は以下の通り。

【今後の法制度の内容と解釈運用に当たっての前提事項】
法案が審議を経て成立した後、法制度の詳細が議論され、実際に運用されていくにあたって、次に掲げる事項が確実に担保されることが、前提として重要である
(1)法解釈の厳格な運用と執行
① 規制対象事業者による禁止行為等の有無や該当性等、法令の遵守状況について確認するプロセスや確認体制を、ガイドライン等で明確にすること
② 制度の運用にあたって、形式的ではなく実質的な法解釈が行われるよう、逐条解説やガイドライン等で実質的な解釈を明示すること
③ セキュリティ、プライバシー等を理由とするOSへのアクセス制限等の正当化事由について、その事由の濫用を防ぐ観点から、ガイドライン等を作成し、内容を具体的かつ限定的に明記すること。仮にこの事由の主張があっても、真に該当するか確認することが可能となるよう、厳格確実な仕組みと運用(必要な情報の収集体制の確保、当該情報の分析体制の確保等を含む)を確保し、明示すること
④ 音声通話を含むリッチコミュニケーションサービス(RCS)など、OS機能へのアクセスがオープンになること
⑤ 海外事業者に対し、是正措置や課徴金を含め厳正な執行を確保すること
⑥ 昨年6月16日、政府のデジタル市場競争会議において取りまとめられた「モバイル・エコシステムに関する競争評価 最終報告」において必要性が指摘された「う回行為(※2)の禁止規定」について、う回行為の禁止を法制度として担保すること
(2)法施行後のモニタリングと不断の見直し
① 上記最終報告で指摘された競争政策上の課題や関係事業者から指摘された事項等について、改善状況を継続的にモニタリングすること
② その他、国内外の業界の動向や、諸外国での法令の整備状況や執行状況の最新動向を把握して、法制度が有効かどうかを検証し続けること

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※1 モバイルOS・アプリストアの寡占構造に由来する課題事例
(1)多額の決済システム手数料がアプリ提供事業者の利益を圧迫し、スタートアップ業界をはじめとした国内事業者の成長を阻害しており、消費者価格へも跳ね返っている可能性がある。また、国富流出の一因でもある。
 注1)2022年の我が国におけるモバイルコンテンツ市場規模は約2.8兆円。決済手数料率が3割とすれば、約8千億円強の国際収支赤字要因と考えられる。
 注2)2023年の速報値で、我が国のデジタル赤字は約5.5兆円。デジタル赤字とは、デジタル関連の我が国全体のサービス収支の赤字額のことであり、以下の三点から構成される。
         ①コンピュータサービス・クラウドサービスやオンライン会議システムの利用料
         ②著作権等使用料や動画・音楽配信に伴う各種ライセンス料
         ③専門・経営コンサルティングサービスやインターネット広告の売買代金
(2)音声通話を含むリッチコミュニケーションサービス(RCS)など、OSの特定機能へのアクセスがオープンとされていないケースがある。

※2 う回行為の例
代替アプリストアや代替決済手段の選択が可能になったものの、プラットフォーマーが代替アプリストア経由のダウンロードや代替決済手段による決済に対して新たな手数料を徴収することなどにより、代替アプリストアや代替決済手段への移行をビジネス上無意味なものにする、または過大な損失を被らせること。

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