4月5日に閣議決定され国会に提出される「食品表示法案」に対して要望書を提出しました。

2013年4月5日

各政党・政策担当者 殿(注)

一般社団法人新経済連盟
代表理事 三木谷 浩史

「食品表示法案」に対する要望書

本日、「食品表示法案」が閣議決定され国会に提出されますが、本件について下記のような懸念事項有していますので、要望書を提出させていただきます。

1.要望事項

本法案は、食品関連事業者等に対して求める表示規制の内容が法律上で明らかになっておらず事業者にとって予見可能性がない仕組みであること等から慎重な審議を求めます。少なくとも、①具体的基準を消費者庁に事実上白紙委任する仕組み(「府令」)を排除すること、②差止請求権の見直しの2点を検討いただきたいと考えます。

2.要望理由

  • (1)本法案の仕組み自体がもつ問題
    本法案上では、「食品関連事業者等は食品表示基準に従い、食品の表示をする義務が課される」とするのみで、肝心の基準の内容は、消費者庁が作成する「府令」に事実上白紙委任されています。また、法案の目的も、従来の3つの法律(食品衛生法、JAS法、健康増進法)の目的を越えて、「消費者の選択の機会の確保」という極めて広範で外延が不明確な目的に一般化されています。このため、事業者にとっては、法案の内容に予見可能性がなく、正当に事業活動を行う事業者に過度な負担が「府令」により突然課される危険性がありえます。
  • (2)事業活動に及ぼす影響への配慮
    食品関連事業者等の事業活動への配慮に関する理念規定はあるものの、それを担保する仕組みが不十分です。表示基準は、「府令」レベルに一任され、協議対象も、財務大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣のみとされており、小売業界を所管する経済産業省等は入っていません。食品メーカー、スーパー、百貨店等の流通業、その他食品を取り扱う幅広い事業者に関わる重要な問題であり、規制と適正な事業活動のバランスの考慮を具体的に担保できる仕組みが必要です。
  • (3)適格消費者団体による差止請求権の問題
    今回の法案では、従来の食品表示3法では設けられておらず、消費者庁主催の検討会でも議論されていなかった事項として、適格消費者団体による差止請求権が新設されることになっています。消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択に影響を及ぼすほどの事実の相違であれば、景品表示法における優良誤認として差止請求という制度が既にあり、また、今回の法案で、一般の方からの申し出に基づいて消費者庁が必要な調査を行い適切な措置を指示する等の仕組みがあるので、不要と考えます。
  • (4)法案策定に当たっての手続き上の問題
    本件は、消費者庁主催の検討会の議論の後、消費者庁が制度案のパブリックコメントを求めていたにもかかわらず、その結果やそれへの回答がいまだに公表されていない状況であり、当該意見照会時には示されていなかった項目もあります。また、事業者のみならず消費者団体の間でも意見が割れているとも聞いております。情報公開が不十分なまま、関係者の意見を十分聞かずに拙速に法案提出を行ったと言わざるをえません。

(注)五十音順

  • 公明党政務調査会長 石井 啓一 殿
  • 社民党党首 福島 みずほ 殿
  • 自由民主党政務調査会長 高市 早苗 殿
  • 新党改革幹事長 荒井 広幸 殿
  • 生活の党総合政策会議議長 森 ゆうこ 殿
  • 日本共産党国会議員団総会長 市田 忠義 殿
  • 日本維新の会国会議員団政策調査会長 片山 虎之助 殿
  • みどりの風政調会長 舟山 康江 殿
  • 民主党政策調査会長 桜井 充 殿
  • みんなの党政策調査会長 浅尾 慶一郎 殿
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