総務省による「知識情報社会の実現に向けた情報通信政策の在り方」に係る2020年頃のICTサービス・システム等に関する意見募集について、意見書を提出しました。

既定の意見提出フォーマットに従い、以下の内容を提出いたしました。

 【2020年頃までの社会像】・【ICT利活用の変化とその影響】

  • 社会においてインターネットの存在が大きくなり、以下のような変化が加速していくものと思われます。
    1. インターネットは社会のインフラの中核に
    2. すべのものはインターネットにつながる

    この変化により、インターネットは人々の生活・行動パターンを変えてしまうと考えられます。

  • 第一に、消費者がより多くの情報を入手することが可能になったことにより情報の流れが消費者上位に変化していくものと考えられます。これにより、行政サービスや企業活動やモノやサービスの提供にあたっては、個々の消費者にマッチした情報を提供できるようなマーケティングや技術開発等が加速していくと考えられます。
  • また、行政や民間企業等では、労働の質や量の変化がもたらされることが考えられます。行政ではサービスコストの効率化やサービスの質が向上し、ひいては歳出の圧縮が期待されるところです。
  • このように、インターネットをはじめとするICTは社会生活のイノベーションを推進していくキードライバーとなり、経済成長や雇用に貢献していくと考えられます。

【2020年頃までの通信・放送ネットワークの変化とその影響】

  • 通信と放送が融合していくとともに、インターネットを通じたコミュニケーションが加速していく。

【今後取り組むべき課題】

  • 全産業においてインターネットを基本としたICT活用を拡大していく旨のネット戦略を政府全体として打ち出し、全省庁で実現すること
  • イノベーションが阻害されないよう必要最低限の規制にとどめる旨を政府方針とすること。
  • 着実にネット戦略を実現していくため、各分野におけるICT利活用をモニタリングするための目標として具体的な数値(KPI)を掲げること(たとえば、小売業・サービス業におけるEC化率、また同業の中小企業によるBtoC・EC実施率等)

【今後成長が期待されるICTサービス・システム】

  1. モバイル:
    タブレット、スレート、高機能携帯電話などのモバイル端末がますます普及し、それに伴いモバイル向けサービスも増加。また、紙やCDなどの記憶媒体から電子媒体に移行する動きが加速。
    例)電子書籍、電子教科書、その他各種モバイル対応サービス
  2. 非接触型IC:
    非接触ICタグを内蔵したモバイル端末が普及することで、場所を問わずオフライン上のデータを収集。オンライン上のデータと合わせて分析され、ユーザによりマッチしたサービスが提供される。また今まで現物で行っていた決済等は非接触型ICチップを搭載したモバイル端末を通じて積極的に行われていく。
     (例)非接触型決済、広告、O2Oビジネス
  3. パーソナル化:
    ユビキタス社会において、オンライン及びオフライン問わずデータ収集が多様化することに伴い、ユーザによりマッチした精度の高いサービス提供が活性化。
     (例)パーソナライズサービス、広告、ヘルスケア
  4. オープン化・シームレス化:
    複数端末の利用が拡大することで、端末に依存しないシームレスなサービス提供が拡大。また端末に限らず、公共サービスと民間サービスがオンライン上でさまざまに組み合わさるサービスが積極的に進められると思われる。
    (例)クラウド、国民IDを活用した安心したサービス提供
  5. スマート化:
    ICTを活用して各種運用を最適化する取り組みが進み、情報端末を搭載する電化製品や住宅等が普及していくと思われる。
    (例)スマートグリット、スマートカー、スマートハウス、スマート家電

【ICTサービス・システムの実現の効果】

以下の効果を通じて、経済成長の加速や雇用拡大が期待されます。

消費者:
最適なサービスが提供されることによるユーザ利便性の向上
生活水準の向上
民間企業:
新サービスの創出による雇用創出
大企業のみならず中小企業における生産性の向上
顧客満足度の向上やそれに伴う売り上げ拡大
行政:
行政サービスの質の向上
行政コストの削減

【ICTサービス・システムの実現にあたっての課題】

全体:
  • 新しいテクノロジーによる経済成長を阻害しないよう、全分野において慎重かつ必要最小限の規制に留まるよう担保すること
  • 公正な競争環境の整備
  • インターネットを通じた国境を超える自由な情報流通やサービスの展開を確保するため、必要に応じ、一定の国際ルールメーキングを推進すること
個別:
  • 国際競争力を高めていくためのベンチャー育成と、それを推進していくたためのKPI設定(例えば、年間企業数や開業率等)とモニタリング
  • 民間の利用を前提とした国民ID制度の設計
  • コンテンツのデジタル化の推進

【その他、将来のICTサービス・システムの実現に関する事項(海外動向など)】

  • 当会長の三木谷が出席したe-G8サミット(2011年5月開催)において、フランスのサルコジ大統領が「インターネットは、革命であり、新世界、第8の大陸である。」と自らの認識を基調講演で発表。米国・オバマ大統領をはじめ、諸外国のトップがインターネットを政策の中心とする戦略を推進しています。
  • IT戦略会議等で議論されては提言としてまとめられ、指摘されている情報通信技術の利活用を阻む既存制度等の見直しについては、再度、徹底して遂行していくべきです
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