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消費者庁が意見募集していた「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案」に対して意見を提出しました

「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案」についての意見

【意見の対象】

第5.その他(制度全般に対する意見)

【意見の内容】

現行の制度については、事業者による柔軟な個別対応や紛争の早期解決をかえって困難にし、健全な事業者に対する濫訴により日本経済に大きな打撃を及ぼす危険性も払拭できないこと等から、拙速に導入するべきではなく、他の方策の検討(現行制度の改善など)や他の国の訴訟制度の運用状況の検証や諸外国・国際機関等での検討動向を含めて再度慎重に制度設計を議論すべきである。

【理由】

提案されている「制度設計」自体が下記のような問題点を内包したままであり、下記の点をいかに克服できるのかの議論が必要である。

  • 事業者による柔軟な個別対応や紛争の早期解決が困難になり、消費者にとって有益とはいえない点

    裁判外で自主的な個別対応(ケースバイケースで返金等)を行うと、「非を認めた証拠」として1段階目の手続きで利用される恐れがあり、事業者による判決確定前の個別対応が促進されない。また、消費者からの授権がなく被害者個々人が一段階目の手続きでは不在のため事業者にとっては規模把握が困難である中で、一段階目の敗訴は事業者に多大な影響を及ぼすので徹底的に争うしかなく紛争が長期化するおそれがある。

  • 健全な事業者に対する濫訴の危険性がある点

    対象事案の範囲が広くあらゆる事業者がターゲットになる。適格消費者団体は13,000円の訴訟提起費用を払うだけで訴訟可能である。さらに、適格消費者団体は勝訴すれば費用等を回収でき、敗訴しても何ら不利益はない。

  • 制度自体の不公平性

    1段階目の手続きは、消費者からの授権がなく被害者個々人が不在の中で審理されるので事業者が十分な攻撃防御をしつくせない可能性がある。また、事業者側が1段階目で敗訴した場合は判決効が対象消費者に及ぶ一方、勝訴の場合は判決効が対象消費者に及ばないという片面性がある。

以上

「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案」についての意見

【意見の対象】

第3.特定適格消費者団体

【意見の内容】

  1. 「特定適格消費者団体が支払いを受ける報酬または費用」について

    報酬目的の提訴は本制度の趣旨に沿わないものであることから、特定適格消費者団体自身が「報酬」を受け取るべきではなく、あくまで費用のみを受け取ることとすべきである。
    また、当該費用は、損害賠償請求権等により得られる対象消費者の金員から回収されるものとし、消費者が受けるはずの利益を特定適格消費者団体や弁護士が「費用」として不当に享受することのないように、費用については合理的な費用の算定方法と具体的な額の基準(上限を含む)を定めることを明らかにすべきである。また、それらに違反した場合には、認定を取り消す等の措置を講ずることを明記すべきである。

  2. 特定適格消費者団体の責務について

    特定適格消費者団体による濫訴を防止する観点から、提訴件数やその敗訴の割合、第1段階で主張した多数性の数と第2段階の手続きに実際に参加した消費者の数との比較など、濫訴を判断するための具体的な基準を明らかにし、それらの基準に合致した場合は、認定を取り消す等の訴訟提起に係る厳しいペナルティを課す措置を講じることを明記すべきである。

【理由】

  1. 貸金業者に対する過払い金返還請求事案に見られたような、弁護士が消費者の権利を専ら自らの利益のために利用し、結果としてまったく消費者の利益にならないような事態はなんとしても避けなければならない。そのためには、報酬を目的とした提訴を禁止し、費用のみ受け取ることができるとすべきである。本案において、額や算定方法等を定めることが特定適格消費者団体に求められているが、それだけでは形式上何らかのものを記述しているだけでよいことになり実効性のある監督措置としては極めて不十分である。合理的な費用の算定方法と具体的な額の基準(上限を含む)を定めるとともに違反した場合にはペナルティを課せることではじめて実効性のある措置となる。
  2. 特定適格消費者団体が訴権を濫用してはならないのは当然であって、重要なのは、いかにそれを制度上担保するかである。濫用の有無を監視するための具体的な指標を定めておくことで、濫訴の防止に実効性をもたせるべきである。

以上

「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案」についての意見

【意見の対象】

第2 1 共通義務確認訴訟に係る民事訴訟手続の特例

【意見の内容】

  1. 一段階目の手続き(共通義務確認訴訟)における消費者からの授権について

    一段階目の手続きにおいて、特定適格消費者団体が個々の消費者から授権を受ける仕組みとすべきである。

  2. 訴えの要件について

    多数性、共通性、支配性(優越性)を訴えの要件とし、要件を満たさなければ訴えを却下することを明記したうえで、他の訴訟制度では解決できずこの制度でなければ救済できないものに限定されるよう、各要件の内容を具体的に定義すべきである。多数については、現状の案の「相当多数」では要件が厳格ではないので、ある程度のレベルまで少なくとも厳格化すべきである。また、第2(1)④の規定は、「却下することができる」ではなく、「却下しなければならない」とすべきである。
    また、共通性が求められる対象は、事実上・法律上の責任だけでなく、因果関係や損害事実についても対象とすべきであり、それを明記すべきである。

  3. 被告適格について

    「勧誘を助長する事業者」を被告とすることは削除すべきである。

  4. 訴状の記載事項について

    多数性、共通性、支配性(優越性)の要件を満たしていることを十分に証明できるよう原告が具体的に示さなければいけないこととすべきである。

  5. 対象となる権利について

    少なくとも「慰謝料請求」は本制度の対象から除外されることを明記すべきである。

【理由】

  1. そもそも、本制度検討の出発点は、「救済すべき消費者被害が発生していること」にある。本制度は被害にあった個々の消費者の請求権をまとめ、集合的に事業者に対して訴えを提起し、被害救済を図るという性格のものといえる。本案が示すような、個々の消費者被害や請求権の具体的な内容が明確になっていない状態で金銭支払義務の有無を明らかにするための一段階目の訴訟が進行することは、その出発点に照らしてかけ離れている。事業者側にとっては実体のない人形を相手に応訴するようなものであり、係争利益の把握が十分できないことが大きな問題である。
    原告適格を特定適格消費者団体に認める一方で、一段階目で個々の消費者からの授権を得る制度であれば、「被害にあった個々の消費者の請求権をまとめ、集合的に事業者に対して訴えを提起し、被害救済を図る」という趣旨により近づく可能性がある。
    消費者庁や消費者委員会による検討において、しっかりとした議論がなされないまま一段階目でのオプトイン案が早々に検討対象から外れたことには合理性がない。
  2. 濫訴を防止する観点や、係争利益の把握の観点から、訴えの要件(要件を満たさない限り訴えが却下されること)を明記すべきである。訴えの要件は多数性、共通性、支配性(優越性)とし、濫訴防止の観点等から適切なものかどうか判断できるよう詳細を明記すべきである。
  3. 被告適格として「勧誘を助長する事業者」とあるが、「助長」の用語は極めて外延が不明確である。事業者の係争利益の把握可能性の観点、事業者の予測可能性の観点及び濫訴防止の観点から、対象とすべきでない。
  4. 訴状の記載事項が書かれているが、事業者が係争利益を把握するためにも、多数性、共通性、支配性(優越性)の要件を満たしていることを特定適格消費者団体が示さなければいけないこととすべきである。
  5. 慰謝料請求は一身専属性であり、また、個別性も強いことから、一段階目の手続きにおいて個々の消費者からの授権を必要とせず、また、共通性の要件が設定されている本制度においては、慰謝料請求をその対象とすべきでない。

以上

「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の骨子」についての意見

【意見の対象】

第2 2 対象債権の確定手続(簡易確定手続及び異議後の訴訟)

【意見の内容】

  1. 個別請求権の届出について

    適格消費者団体が個別請求権の届出を行う際には、対象消費者に個別請求権が存在することやその額について証明する証拠資料の添付を必要とすべきである。

  2. 届出をされた個別請求権の認否について

    認否の判断に必要不可欠な期間を十分担保できる仕組みになる運用を確保するとともに、認否に必要不可欠な情報が過不足なく提供されるよう担保すべきである。

【意見の内容】

  1. 本案によれば、二段階目の手続きにおいて適格消費者団体が個別請求権の届出をし、それに対して被告である事業者側が一定期間内に認否を行わなければならないとされている。対象消費者が多数であることを前提とする本制度において、簡易かつ迅速に手続きを進めるためには、立証責任を一方的に事業者に負わせるのではなく、消費者側からも前もって証拠資料を提出させることによって、認否のスピードを上げるべきである。
  2. 認否をするための期間が伸長できることは明らかになったものの、当該期間内に認否をしなかったときは届出の内容で個別請求権が確定するというのは、酷である。大量の届出がなされ、また、不十分な情報しか出されない場合には、事業者側で適格に認否することに相当な困難が予想されるので、事業者側での十分な審理に必要な時間と情報が確実に提供される制度整備と実運用の担保が必要不可欠である。

以上