12月12日、会員セミナー 「新規事業・投資担当者向け勉強会:米国発アクセラレータープログラム事例から学ぶ、新規事業をブレイクスルーさせる方法」を行いました

2016年12月12日(月)、会員向けのセミナー 「米国発アクセラレータープログラム事例から学ぶ、新規事業をブレイクスルーさせる方法」 を行いました。
   
本セミナーは、新経連会員企業の新規事業、投資・CVCの担当者を主な対象とし、米国シリコンバレーを拠点とする世界トップレベルのベンチャーキャピタル(VC)「500 Startups」が今年の夏、神戸市にて実施した6週間のアクセラレータープログラム「500 KOBE Pre-Accelerator」をケーススタディとして、新しい事業を短期間で急成長させる方法について洞察を得ることを目的として開催されました。  
   
神戸市が500 Startupsとパートナー協定を締結して実施した、自治体の取り組みとしてはきわめて異例なこのプログラム。本セミナーでは、500 Startups米国本体と直接交渉の末、このプログラムを誘致された神戸市新産業創造担当課長の多名部重則様に講師としてお越しいただき、神戸市の本プロジェクトに対する想い、そして世界に名だたる500 Startupsの精鋭チームによるメンタリングの様子や、スタートアップ育成・投資に対する考え方など、多名部様が6週間でつぶさに見聞きされたことをお話しいただきました。
   
   
講師: 多名部重則様 (神戸市新産業創造担当課長)
   
   
「500 KOBE Pre-Accelerator」には初回、しかも英語での出願にも関わらず、日本各地、そして米国、フィリピン、タイから206社もの応募があったそうです。米国本体による厳格な審査により選抜された国内18社、海外3社の計21社のスタートアップがプログラムに参加。世界各地から来日した20名の専門家・メンターが、500 Startupsが本場シリコンバレーで実施するものと同内容の指導を、6週間かけてこの21チームに対してみっちり叩き込みました。  
    
プログラムでは、メンターによる起業・VC分野の基礎知識、オンライン・オフラインの最新マーケティング手法やデザイン(UI/UX)最適化、投資・法務、プレゼンテーション技法などについてのレクチャーが毎日開催されるのと並行し、起業経験豊かなEIR (Entrepreneur in Residence)が各チームに一人割り振られ、日々の指導とサポートが提供されました。また、メンターがそれぞれの専門領域や経験から適切なアドバイスや新たな課題設定を行う1on1メンタリング、連日ピッチトレーニングも実施され、最終日のDemo Dayでは、国内外VC・投資家、企業戦略担当者、メディアが250名も集まる場で1社2分のピッチが披露されました。  
   
多名部様は「メンター陣のレベルの高さに驚いた」と語ります。メンター陣は全員がシリアル・アントレプレナーで、起業とスタートアップを身をもって知っており、事業領域を横断的にまたいで自分の専門分野について体系的に指導することができます。また、世界中のアントレプレナーとの広く密なネットワークを持っていて、今回のプログラムの最中にも参加チームを海外のアントレプレナーにリアルタイムにSkypeでつなぐといったことが起こっていたそうです。
   
「日本では500 Startupsというと『やんちゃで軽い』イメージを持たれていますが、実は彼らはいたってまじめでハードワーキング、そしてとても真摯な人たちでした。メンタリングでも、スタートアップの話を10秒聞いてパッと解を出しているように見えますが、実は毎晩メンター同士でミーティングを持ち、密に情報共有をし、翌日のメンタリングの戦略を練っていました。そういう隠れた努力の積み重ねにより、この優れたプログラムが出来上がっていることを実感しました。」と多名部様。共有されたさまざまなエピソードから、新しい事業を急成長させるには意思決定のスピードはもとより、グロースのための考え方と行動原理を、事業を推進する側と支援する側の両方が理解し、体得することの重要性がひしひしと伝わってきました。   
   
   
参加スタートアップ21社の顔ぶれは実に多彩です。多名部様によると、全ての参加スタートアップがプログラム終了後、資金調達に成功した、もしくは今現在投資の話が進んでいるそうです。(参加スタートアップの詳細はこちら http://jp.500kobe.com/)  
   
このプログラムの成果に対する500 Startups米国本体の評価は高く、2017年はタイトルから「Pre」が取れ、「500 KOBE ACCELERATOR」と称して、本格プログラムとして来年7月から9月にかけて神戸市での開催を計画しています。来年のプログラムは、内容の拡充に加え、スポンサー企業を対象に、スタートアップ企業との連携に関する技術的手法やノウハウに関する「Corporate Startup Innovation Program(仮称)」を実施することが特色とのことです。そしてまた、東京・大阪・福岡において、500 Startupsと地元自治体が主催しての1-dayセッションの開催も予定されています。  
   
久元喜造神戸市長のビジョンのもと、2015年にスタートアップ育成事業を立ち上げて、500 Startupsをはじめ、ルワンダとの経済連携、「神戸シードアクセラレーションプログラム」構築など数々の事業を猛スピードで推進してこられた多名部様。自治体主導の強みを最大限に活用しつつ、しかしそれに甘んずることなく、自らがアクションを起こす、共感する人を集めて組織化し、新しいものを生み出していく、、、まさに「役所版アントレプレナー」とも言える多名部様の情熱あふれるお話を拝聴して、まさに新経連が目指している「エリアを越えたスタートアップエコシステム」のヒントが見えた気がしました。  
   
ご参加くださった会員企業の皆さま、そして、はるばる神戸からお越しいただき講師をお務めくださった多名部様、本当にありがとうございました。
   
新経済連盟は本年から近畿・関西圏での活動を本格化させています。このセミナーは、継続的にご支援くださっている神戸市様のご協力により実現することができました。最後に、神戸市様にも心よりお礼申し上げます。
   
   
   
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