2020年 代表理事 年頭所感

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 
2020年が幕を開けました。幼少の頃、遠い未来だと思っていた2000年代も既に20年。いまさらながら時の流れの早さに驚かされます。この20年間で世界経済は大きく変貌し、2000年当時のGDPランキングでそれぞれ6位と13位だった中国とインドは、いまや2位と7位に躍進しています。企業の時価総額ランキングでは、かつて日米企業の寡占状態であった上位30社から日本企業が消え、伝統的な米国企業が順位を落し、代わってGAFAや中国、台湾、韓国企業がランクインする時代となっています。

 
個別分野に目を転じても、AI、5G、ブロックチェーン等、新しいテクノロジーが次々とビジネスに実装され、企業を取り巻く競争環境は一段と大きく変化しています。加えて、デジタル化の進展により伝統的な業界構造は崩壊しつつあり、国内・国外の垣根はもはや意味をなさないと言っても過言ではありません。こうした革命的とも言える変化の時代に対応するためには、法制度の設計や産業政策の立案を担う行政・立法府に対し、ビジネスの変化を的確にインプットし、時代に即した政策を提言できる存在が不可欠です。そして、これこそが私たちが設立以来追求してきた役割です。

 
昨年一年間を振り返っても、規制や税制のイコールフッティングの確保を提起した「海外デジタルプラットフォームを巡る諸課題と対応策」、官民手続きや民民取引についてデジタル完結可能な制度を提唱した「デジタルファースト社会に向けた法案への期待と要望事項」、さらには「2020年度税制改正に関する提言」等が、政府の議論や立法過程に大きな影響を与えました。

 
こうした政策提言活動と並行して、会員向けセミナーの数と質の向上を図るとともに、恒例のビッグイベント「新経済サミット(NEST)」を東京に加えて初めて関西でも開催しました。特に、NEST TOKYOでは、新経済連盟に加盟する上場企業を構成銘柄とする「新経連株価指数」を公表し、私たちが成長企業の集う団体であるということを客観的な数値でお示ししました。この指数はメディアや金融機関から大きな注目を集めており、今後の展開を私も楽しみにしております。

 
このような実績を基盤として、本年は、特に「AI」、そして「スタートアップエコシステム」を重点分野として政策提言を行って参ります。AIについては、ビジネスへの実装に向けた規制改革や人材育成が急務です。他方、スタートアップ企業については、オープンイノベーションの推進力と期待されつつ資金や規制など様々な課題に直面しています。これらに加えて、「移民受入れ」「フィンテック」「ブロックチェーン」等について、会員各位の声を取り込んだ具体的な政策提言を目指します。

 
新しい時代を切り拓く新しい力として、本年も新経済連盟はその役割を果たして参ります。皆様の変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 
2020年1月1日
一般社団法人 新経済連盟
代表理事 三木谷浩史

 

提言・ニュース