IT戦略本部が意見募集していた「世界最先端IT国家創造宣言案」に関して意見を提出しました。

「世界最先端IT国家創造」宣言に対する意見

1.総論・基本的に必要な施策

(1) 情報をどう押さえるかという国際的な競争があることを念頭に、日本が世界に先駆けて、情報の道を超低料金化し圧倒的なNO.1にすることが戦略的に重要である。

(2) インターネットやICTを活用して新結合を生み出すためには、以下の7つの視点が重要である。

①対面原則・書面交付原則の撤廃

②インターネット/ICT・アウトバーン構想(通信網やインターネットは社会インフラと位置づけその利用自体に関してあらゆる規制をなくし全ての人に開放)

③通信・放送インフラ等のガラパゴス化の見直し(NGNオープン化、有限な資源の電波のモバイルへの戦略的な活用等)

④エンジニアの質・量ともにレベルを大幅にアップ

⑤ベンチャー育成と海外企業の招致の促進

⑥クラウド利用の促進

⑦国家運営の高コスト構造の抜本的改善

(3) KPIとして数値目標の設定は一部あるものの、現状値と目標数値が明らかでなくKPI管理をより明確化することが重要である。それぞれのKPIの責任者を明確にアサインするとともに、工程表に結び付いた短期的な具体的数値目標までしっかりと落とし込み、日々の進捗管理(進捗検証と進捗状況に応じた施策改善)をすることが必要である。また、民間や有識者等の意見を取り入れたうえで、技術の発展に合わせ柔軟な見直しを行うことが必要である。

2.その他各論

(1) ビッグデータ利活用に関する新事業・新サービス創出の促進 (P7関係)

①「個人情報保護ガイドラインの見直しや同意取得手続きの標準化等の取り組みを行う」とあるが、技術革新による新たなビジネスの発展やユーザが円滑なサービスを受けることを阻害しないように十分配慮されることが必要である。

②第三者機関の設置の検討に関しては、パーソナルデータの利活用促進の観点からの評価や国際的な動向等も十分に見極めたうえで最終的に採用するべき方策を十分な議論を経て慎重に決定するべきである。

(2) 効果的・効率的で高品質な医療・介護サービスの展開 (P11関係)

「医療情報連携ネットワークを構築する」とあるが、医療機関だけでなく国民一人一人が自分の医療情報をクラウド上に安全に保管し、いつでも取り出せるという視点が重要である。

(3) 利便性の高い電子行政サービスの実現 (P17関係)

①「「マイポータル」を活用した個人向けサービスを展開」とあるが、民間のサービスとの連携も検討し、より国民本位のサービスを目指すべきである。

②イノベーションの創出を担う「事業所」(特に小さい企業・ベンチャー・個人事業主)が本業である創造的な活動にリソースをさけることができるように、行政対応コストを最小化するという視点が重要である。その観点から、政府への電子申請や電子証明書手続きに係る特定デバイス・OS依存の見直し、電子帳簿保存法で電子保存可能な要件の見直し等を図っていくべきである。

(4) 人材育成・教育

①内閣総理大臣官邸主催で「ハッカソン」を開催し、国内の技術者・プログラマー等が新技術・新サービス創出のための競争を行い称賛される環境を整えるとともに、ネットを使った起業促進や新サービスへの民間投資を促す大きなきっかけを提供するべきである。

②以下のとおりIT教育を推進することが必要である。

・ITスキル向上のために、コンピューターサイエンス、コンピュータープログラム(Scratchの活用等)、アプリ開発等に関する教育を教育課程に導入・拡充する。

・生徒1人につき1台デバイスを付与しITリテラシーを向上させ、教育の中心を「考える力を導くこと」「人と違うさまざまな解決法を見つけること」へシフトさせる。デンマークの事例をベンチマークとする。

・プログラマー経験者や起業家を教師とし、実践的で質の高い教育を遠隔教育を活用して各学校に提供する。

(5) 規制改革と環境整備(P24関係)

①対面原則・書面交付原則の撤廃は、日本の規制改革を本気で進めるためにもっとも重要かつ根幹となる政策である。対面・書面から、インターネット・ファーストに考え方を転換し、イノベーションを推進する姿勢を明確にする必要がある。基本法の制定も含めて真剣に取り組んでいただくことを強く要望する。

②「本人確認手続き等の見直し等について検討する」とあるが、民間IDや民間インフラの活用等も含めて幅広く検討するべきである。

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